津波てんでんこ

 津波に首まで漬かり命からがら助かった人がいます。今後の生活に不安いっぱいだけど、避難所の仲間を励まし続ける人がいます。一人一人の震災体験、生活再建の歩みを共有し、語り継ぎたい。被災地の方々のメッセージを紹介します。(2011年3月25日から岩手日報紙面で連載「津波てんでんこ~被災地からのメッセージ」がスタート。ほぼ毎日にわたってメッセージを掲載しています。この紹介文は連載が始まった当時の原文まま)

 「てんでんこ」の意味 人にかまわず逃げろ

 本紙掲載の「津波てんでんこ」のタイトルカットは、大船渡市三陸町綾里の津波災害史研究者、故山下文男さんが揮毫(きごう)しました。「てんでんこ」は「てんでんばらばらに」の意味で、「人にかまわず必死で逃げろ」と、山下さんが訴え続けてきた言葉です。揮毫に当たり、今回の津波で自らも被災した山下さんは「津波対策はハード、ソフト両面あるが、特にソフト面が非常に大切なことが証明された。各家庭で津波の時にどうするか、考え続けてほしい。それが集まることで真の対策となる」と思いを込めています。

▼5月24日
校庭復活 支えに感謝
大船渡市赤崎町 大船渡中3年 野々村 大(だい)さん

 仮設住宅が撤去され、初めて自分たちの学校の校庭で運動会ができた。喜びを感じるし、校庭を貸してくれた大船渡小や支えてくれる地域の人に感謝している。3年生になって黄組団の団長を務めた。みんなを動かす難しさも感じたし、改めて先輩たちはすごいと思った。学校の再スタートになったので後輩たちはこの伝統をつないでほしい。

▼5月23日
進む再建、山頂で実感
陸前高田市竹駒町 高田高1年 貝山 淳平さん

 閉校した気仙中で気仙町けんか七夕太鼓に取り組み、岩手芸術祭総合フェスティバルや閉校式で披露した。心を合わせ、いい音色を響かせることができた。春から高田高に進学し、学校行事で初めて氷上山の山頂に登った。かさ上げ地や新しいまちが見え、復興が進んでいることを実感した。将来は陸前高田市で仕事し、けんか七夕太鼓など地域の伝統や文化を引き継いでいきたい。

▼5月22日
命の安全、自ら考えて
洋野町種市 角浜小副校長 谷藤 明子さん(54)

 毎年、全学年で行う磯掃除の後に、地元の方から海がおいしい食べ物などの恵みを与えてくれるだけではなく、津波など災害の脅威もあることを話していただき、防災意識を育てている。今年は初めて、避難訓練を実施した後日に、子どもたちが実際に動くことができるかどうか、抜き打ちの訓練も行う予定だ。訓練を通じ、自分で命の安全を図り、考え、決断し、行動に移せる力を養っていければいい。