津波てんでんこ

 津波に首まで漬かり命からがら助かった人がいます。今後の生活に不安いっぱいだけど、避難所の仲間を励まし続ける人がいます。一人一人の震災体験、生活再建の歩みを共有し、語り継ぎたい。被災地の方々のメッセージを紹介します。(2011年3月25日から岩手日報紙面で連載「津波てんでんこ~被災地からのメッセージ」がスタート。ほぼ毎日にわたってメッセージを掲載しています。この紹介文は連載が始まった当時の原文まま)

 「てんでんこ」の意味 人にかまわず逃げろ

 本紙掲載の「津波てんでんこ」のタイトルカットは、大船渡市三陸町綾里の津波災害史研究者、故山下文男さんが揮毫(きごう)しました。「てんでんこ」は「てんでんばらばらに」の意味で、「人にかまわず必死で逃げろ」と、山下さんが訴え続けてきた言葉です。揮毫に当たり、今回の津波で自らも被災した山下さんは「津波対策はハード、ソフト両面あるが、特にソフト面が非常に大切なことが証明された。各家庭で津波の時にどうするか、考え続けてほしい。それが集まることで真の対策となる」と思いを込めています。

▼7月19日
復興まだ先に感じる
紫波町中島 復興支援ボランティア「虹」事務局長 女鹿 あつ子さん(62)

 震災直後から、沿岸地域への物資の支援や内陸に避難し定住する被災者との交流活動などに携わっている。沿岸に行くと、7年すぎてもハードやソフトの両面で復興はまだまだ先に感じる。震災前から残る建物の考え方や新しく建設する街など、目に見えるものでさえもっと早く住民合意が得られたであろう課題も見える。私たちができることは少ないが、せめてそばにいる人たちと仲良くしていきたい。

▼7月18日
韓国と岩手 絆さらに
仙台市青葉区 駐仙台韓国総領事 朴 容民(パク・ヨンミン)さん(51)

 震災時は東京の韓国大使館の参事官で、4月からの東北での勤務は元々の仕事に戻ってきたようだ。当時自分の足で見て回った被災地の状況から、復興が着実に進んでいると感じる。ソウル五輪が韓国の経済復興を発信したように、釜石で来年開かれるラグビーワールドカップは岩手の復興を世界に伝える絶好の機会。韓国と岩手は文化的なつながりが深く、交流をますます活発にしていきたい。

▼7月17日
高校生に海の怖さを
盛岡市長田町 水沢工高教諭 久慈 泰彦さん(56)

 震災前に山田高と久慈工高に計16年勤務した。震災当時は盛岡農高に異動しており、山田高の卒業生たちと被災地に支援物資を届けた。高校生を指導していて感じるのは震災の記憶が薄いこと。内陸に住んでいると海の恐ろしさや美しさを肌で感じることができない。いつどんな災害が起きるか分からないので、自分の身は自分で守れるよう、震災の記憶を伝えていくことが私の役目だと思う。