津波てんでんこ

 津波に首まで漬かり命からがら助かった人がいます。今後の生活に不安いっぱいだけど、避難所の仲間を励まし続ける人がいます。一人一人の震災体験、生活再建の歩みを共有し、語り継ぎたい。被災地の方々のメッセージを紹介します。(2011年3月25日から岩手日報紙面で連載「津波てんでんこ~被災地からのメッセージ」がスタート。ほぼ毎日にわたってメッセージを掲載しています。この紹介文は連載が始まった当時の原文まま)

 「てんでんこ」の意味 人にかまわず逃げろ

 本紙掲載の「津波てんでんこ」のタイトルカットは、大船渡市三陸町綾里の津波災害史研究者、故山下文男さんが揮毫(きごう)しました。「てんでんこ」は「てんでんばらばらに」の意味で、「人にかまわず必死で逃げろ」と、山下さんが訴え続けてきた言葉です。揮毫に当たり、今回の津波で自らも被災した山下さんは「津波対策はハード、ソフト両面あるが、特にソフト面が非常に大切なことが証明された。各家庭で津波の時にどうするか、考え続けてほしい。それが集まることで真の対策となる」と思いを込めています。

▼7月17日
高校生に海の怖さを
盛岡市長田町 水沢工高教諭 久慈 泰彦さん(56)

 震災前に山田高と久慈工高に計16年勤務した。震災当時は盛岡農高に異動しており、山田高の卒業生たちと被災地に支援物資を届けた。高校生を指導していて感じるのは震災の記憶が薄いこと。内陸に住んでいると海の恐ろしさや美しさを肌で感じることができない。いつどんな災害が起きるか分からないので、自分の身は自分で守れるよう、震災の記憶を伝えていくことが私の役目だと思う。

▼7月16日
地域間の交流大切に
花巻市中根子 社会福祉法人理事長 狩野 隆史さん(66)

 震災支援の恩返しをしようと、大槌町吉里吉里の社会福祉法人堤福祉会のみなさんが花巻に来てラーメンを振る舞ってくれた。施設利用者たちはこの時季になると「今年も食べたいね」と楽しみにしている。震災の経験から、日頃の備えや地域を超えた横のつながりが重要と学んだ。職員の防災研修参加や沿岸との交流を大切にしていきたい。

▼7月15日
集中豪雨の被害心配
陸前高田市高田町 荒沢 実さん(67)

 西日本豪雨など昨今の災害の多さが心配だ。陸前高田市は東日本大震災からの復興で山を削り宅地造成している。集中豪雨があれば土砂災害が起こらないとは限らない。市コミュニティホールや高田病院は高台にあるが、そこに逃げる途中に沢があるのも危ない。陸前高田市に限らず安全といえる場所はないのではないか。避難に関する情報が出たら早めに避難するほかないと思う。