〈コラム〉最近本を読んでいますか 盛岡市が書籍購入額日本一に

神田由紀・岩手日報社編集局報道部長

2018/5/16

 皆さんは最近、どんな本を読みましたか。

 今月、「盛岡は読書家の街」という記事を掲載しました。総務省の家計調査によると、盛岡の2017年の1世帯当たりの書籍購入額(雑誌・週刊誌・電子書籍を除く)が1万3730円と、全国の都道府県庁所在地・政令指定都市の中でトップでした。

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 全国1位になったのは、04年以来。これまで5年連続で東北1位だったこともあり、もともと本好きの土壌があるのかもしれません。文化の薫りがする街といわれているみたいで、なんだかうれしい気分になりました。

昨年5月に開店し、客足を伸ばしているさわや書店の「ORIORI(オリオリ)」=盛岡市・フェザン

 その背景としては、売り場が2千平方メートル超の大型店が複数あり、東北の同じ人口規模の都市に比べて書店の合計面積が約2倍であること。17年に盛岡市の沼田真佑さんが「影裏)えいり)」で芥川賞を受賞したことも追い風になりました。今年は遠野市の若竹千佐子さんの「おらおらでひとりいぐも」も受賞しており、18年も購入額が上位になるでしょう。

 人口減少やネット販売の台頭などで、書店を取り巻く環境は厳しくなっています。県書店商業組合員は47社・店舗と10年前に比べて半減。トーハン(東京都)のまとめによると、17年7月現在で本の「売り場ゼロ」の市区町村が全国で2割超に当たる420あり、県内は7となっています。

 そんな中でも、地方から多くのベストセラーを生んでいるさわや書店(盛岡市)をはじめ、本に対する情熱が人一倍ある店員が多いのも本県の特徴。また、盛岡はすてきなカフェが多く、おいしいコーヒーを片手に本を読む環境が整っているような気もします。

 本を読むことについて、数学者でエッセイストの藤原正彦さんは「本を読めば知識が付き、体験を重ねれば、知識が教養に格上げされます。教養は『大局観』、物事を大きな所から見る力を得るのに必要です」と語っています。

 この大局観を養うということは、社会人として大切な要素の一つ。自分の会社、地域、日本、そして世界の中で自分のこの判断はどうなのか。大小の差はあれ、仕事とは常にそれを問われ続けるものです。

 自分という人間を形づくってくれる読書。ネット全盛の今だからこそ、本を読む姿は際立ってクールです。ぜひ、近くの書店に足を運んでみませんか。

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今回の執筆:神田由紀(かんだ・ゆき)岩手日報社編集局報道部長

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