〈コラム〉自分と向き合う機会に 就活ルールの廃止を受けて

高橋宏昇・ジョブカフェいわてセンター長

2018/10/23

 日本の「経済3団体」の一つ経団連が就活ルール(採用選考に関する指針)の廃止を発表しました。廃止は2021年春に社会人となる現在の大学2年生の就活から。混乱を避けるため政府は関係省庁連絡会議を開いて、同年春までは現行ルールの継続を決めています。

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 議論をリードしている経団連の中西宏明会長は①経団連が採用選考に関する指針を定め日程を差配していることに違和感がある②終身雇用や年功序列賃金とリンクする新卒一括採用について問題意識を持っている③日程だけでなく採用選考の在り方から議論したい―などと廃止理由を話しています。これから就活を始めようという大学生や保護者の方からは「就活がどうなるのか不安だ」という声が聞かれます。

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就職関連の資料を手にする岩手大の学生。就活指針の廃止で学業への影響など幅広い懸念の声が聞かれる=2018年10月、盛岡市上田・岩手大

 日本は今、さまざまな面で岐路に立っています。

 新卒一括採用と連動した就活スケジュールもその一つです。議論の行方はまだ不透明ですが、これから就活という学生のみなさんはなるべく早い機会に自分のキャリアについて考え、インターンシップ(就業体験)などできることは体験していただきたいと期待しています。

 県が設置している若者の就労支援施設ジョブカフェいわてには、就職活動中の大学生が来館します。よくあるのは、就活が始まる前までは就職や仕事についてあまり考えることもなく、アルバイトや部活などに力を入れ、企業説明会の解禁時期ごろから就活を始め、自分がどんなことに興味があり、どんな仕事をしたいのか、どんなことができるのかを就活をしながら考えていくケースです。

 最初の志望と内定先が業界、職種とも大きく違っているという例も少なくありません。一方で、大学2、3年の早い時期から将来の職業を思い描き、インターンシップに参加し、職業観を広げ充実した就活を送る方もいます。

 「回り道でも」という考え方もあり、どちらがいい悪いではないのですが、将来の仕事や職業のことを早くから考えながら大学生活を送る方とそうでない方との差は、就活時だけでなく、就職後も続くのではないでしょうか。

 今後政府は未来投資会議で就活ルールについて話し合い、世界基準の通年採用に移行したい考えだと伝えらえています。中途採用が広がっていない日本の現状を考えると議論はまだまだ続きそうです。就活の日程が今後どうなるかとは別に、学生のみなさんは「廃止論議はいいきっかけ」ととらえ、これからの自分のキャリアとしっかり向き合ってもらいたいものです。

学生応援コラム〈シューカツにこの1本〉
(1)「働く」の先にあるもの探そう 会社説明会スタート
(2)若さ「復興のエンジン」に 県内企業に新戦力
(3)最近本を読んでいますか 盛岡市が書籍購入額日本一に
(4)岩手の子、暑さから守るには 大人が知恵出そう
(5)自分のためにも、誰かのためにも 思いを行動に移す
(6)どんなことも自分事に 「いわてとワタシゴト展」に参加
(7)好きを「伝える」ことから始まる いわて若者文化祭
(9)熱気あふれた企業と大学の「情報交換会」 リアルな場に足運ぼう
(10)発見や気付き・・・将来の糧に インターンシップの勧め
(11)心豊かな学生生活を 就職活動で感じた「違和感」
(12)地元の企業や仕事、知っていますか? 就活の第一歩は身近に

今回の執筆:高橋宏昇(たかはし・こうしょう)ジョブカフェいわてセンター長

好きな言葉:「なんとかなる」