〈コラム〉企業研究の“今日までそして明日から” 就職活動幅広い視点で

高橋宏昇・ジョブカフェいわてセンター長

2019/2/26

 北海道から関東まで約300店舗を展開する大手ホームセンター元副社長の葬儀が盛岡市内で執り行われました。約500人が参列し60代で急逝した故人をしのびました。故人は、高校の部活動の先輩で直接指導を受けたほか「DO IT YOURSELF」の1号店が自宅隣に出店したというご縁があった方でした。

就職活動を始めるためセミナーを受講する学生たち。自己分析や企業研究の視点について、さまざまな考え方を学ぶ=2019年2月、ジョブカフェいわて

 DIYは第2次世界大戦後、ドイツ軍の空爆で大きな被害を受けた英国ロンドンの街や家を市民自ら再建しようと始まりました。1957年にはノウハウを紹介する雑誌「Do It Yourself」が創刊されています。その後、欧州から米国に広がり日本に。国内初のホームセンター「ドイト(DoIt)」は1972年、埼玉県与野市にオープンしました。それから2年後、盛岡では1974年にDIY専門店2店が誕生しています。うち1店が私の自宅の隣でした。

 当時「これからはDIY、ホームセンターの時代」と考えた起業家は全国にいたようです。北海道釧路市では1976年、金物卸小売業者がホームセンター1号店を開店しています。盛岡で店を開いたのは塗料・建材の卸小売会社で、先輩はその企業の後継者でした。両社はそれぞれ販路を広げ店舗を増やし、1995(平成7)年に合併して現在の大手ホームセンターHが誕生しました。

 自宅隣の1号店。“日曜大工”のためのさまざまな工具、塗料や建材など多様な商品を並べ、見るだけでもわくわくしたのを覚えています。でも、家の修理は知り合いの大工さんに頼むなどDIY文化がまだ根付いていない土地柄、大きな商いにはならないのではないかと思っていました。その小さな店が年商約2千億円の大手ホームセンターチェーンになるなんてとても想像できませんでした。そんな私と違って亡くなった先輩は「この店は将来多くの市民で賑わう」という確かな見通しを持って経営にあたっていたに違いありません。

 栄枯盛衰は世の常です。「今は大きくて立派でも…」「今は小さくて大変でも…」。企業の行く先を見通すのはなかなか難しいことです。でも「現状だけを見るのではなく、これまでの歩みそして将来にも目を向ける」。こんな視点があれば就職活動の幅は間違いなく広がります。企業研究をする際、そんなこともちょっと思い出してもらいたいと思っています。

学生応援コラム〈シューカツにこの1本〉
(1)「働く」の先にあるもの探そう 会社説明会スタート
(2)若さ「復興のエンジン」に 県内企業に新戦力
(3)最近本を読んでいますか 盛岡市が書籍購入額日本一に
(4)岩手の子、暑さから守るには 大人が知恵出そう
(5)自分のためにも、誰かのためにも 思いを行動に移す
(6)どんなことも自分事に 「いわてとワタシゴト展」に参加
(7)好きを「伝える」ことから始まる いわて若者文化祭
(8)自分と向き合う機会に 就活ルールの廃止を受けて
(9)熱気あふれた企業と大学の「情報交換会」 リアルな場に足運ぼう
(10)発見や気付き・・・将来の糧に インターンシップの勧め
(11)心豊かな学生生活を 就職活動で感じた「違和感」
(12)地元の企業や仕事、知っていますか? 就活の第一歩は身近に

今回の執筆:高橋宏昇(たかはし・こうしょう)ジョブカフェいわてセンター長

好きな言葉:「なんとかなる」