〈コラム〉心豊かな学生生活を 就職活動で感じた「違和感」

NPO法人みらい図書館 主任コーディネーター恒川かおり

2018/12/18

 来春閉校する岩泉町の二升石(にしょういし)小学校で、地域住民と子どもたちが餅つきなどを楽しむ「収穫祭」の記事が紙面に掲載されました。2016年台風豪雨からの復興に向かう中で、親しみのある学校が無くなり、校章や校歌など独自の文化も失われてしまうことは、どんなにか寂しいことでしょう。

 岩手県ではこの10年で、公立の小中高約150校が統廃合で無くなりました。もちろん、部活動の選択肢が増えるなど利点もあると思われますが、子どもと関わる大人の距離が遠くなる。そんな危機感を感じます。

学校での授業に関わってくださった大人たちに贈呈している「第二母校認定証」

 私の所属するNPO法人未来図書館では、11年前から小中高校の授業の中で、子どもと大人が学び合う「未来パスポート」プログラムを行っています。プログラムには、毎回大勢の大学生や社会人が駆け付け、どんな思いで仕事をしているかや、これまでの道のりを語ります。そして今年度から、閉校が相次ぐ現状を受け「第二母校プロジェクト」を立ち上げました。参加した学生や大人にその学校の「第二母校認定証」を差し上げ、一層子どもたちを応援してほしいと思っています。 

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 プログラムでは、社会人が「その人でなければ語れないエピソード」を語り、中には失敗や驚きのエピソードも。司会や運営は学生が担うので「まだ何者でもない学生の姿」に、子どもたちは親近感を感じるようです。

 実は、この2~3年気になったのが、顔半分が「だてマスク」で覆われた中高生が急増したことです。どうも風邪ではないらしいのですが、表情が分かりづらいのです。

 プログラムの間ずっと下を向き、目を合わせない子もいます。テーマに興味がないのか、体調が悪いのか。ところが終了後に感想を読むと、そういう子に限ってぎっしりと感想が書かれていて驚くこともあります。聞いていないようだけれど、ちゃんと心に響いていて自分の言葉で表現している。そんな時いつも、表面で人を判断してはいけないと教えられるのです。

 活動に参加する学生の多くは、自分の将来へのヒントを探していたり、自己の成長を目的としているようです。そうした彼らから、同じ学生に対する違和感を聞きました。

 就職活動セミナーやマナー講座などを熱心に受講し努力を怠らない先輩の話です。数社からの内定を受け、その中で蹴った話を得意げに話す姿にがくぜんとしたというのです。

 もちろん目標を持ち、努力をし、結果を出した事自体は素晴らしいことに違いありません。しかし、その会社に入りたくても入れなかった人や、断ることで会社にも負担をかけたと考えたなら、後輩に自慢げに話す事はしないでしょう。もちろん自分の選択は大事です。でも、自分のことだけを考える人ばかりが社会人になったとしたら・・。

 人は人と関わらないと生きていくことはできません。思いがけないところで、誰かに助けられる事もあるでしょう。冒頭の閉校の話に戻りますが、学校という場所が無くなってしまっても、そこでの豊かな思い出は無くならないように、学生の皆さんには、心豊かな学生時代を過ごしてほしいと願います。
学生応援コラム〈シューカツにこの1本〉
(1)「働く」の先にあるもの探そう 会社説明会スタート
(2)若さ「復興のエンジン」に 県内企業に新戦力
(3)最近本を読んでいますか 盛岡市が書籍購入額日本一に
(4)岩手の子、暑さから守るには 大人が知恵出そう
(5)自分のためにも、誰かのためにも 思いを行動に移す
(6)どんなことも自分事に 「いわてとワタシゴト展」に参加
(7)好きを「伝える」ことから始まる いわて若者文化祭
(8)自分と向き合う機会に 就活ルールの廃止を受けて
(9)熱気あふれた企業と大学の「情報交換会」 リアルな場に足運ぼう
(10)発見や気付き・・・将来の糧に インターンシップの勧め
(12)地元の企業や仕事、知っていますか? 就活の第一歩は身近に

今回の執筆:恒川かおり NPO法人みらい図書館主任コーディネーター

好きな言葉:「恥と汗は沢山かいたほうがいい」