道はどこまでも 米ロングトレイル挑戦記④

岩手思い出す山並み
(2018年8月27日~9月19日)
 

数週間一緒に歩いたキム・ジンメンさん(右)とユンさん親子。親切に甘え、何度もおいしい食事とお茶をごちそうになった

 スタートから約4カ月かけ、オレゴン州に入った。起伏が少ないこの州では歩くペースが伸び、1日に30~50キロは歩ける。緩やかな山並みは、どことなく岩手の風景と似ていて、遠く離れた古里を感じながら歩を進めた。

 9月、トレイルには秋の気配が漂い始めた。10月下旬になればこの先のワシントン州で雪が降るため、あまりゆっくりと歩いていられない。カリフォルニアで足慣らしを済ませたハイカーたちは、この区間を約3週間で通過してしまう。

視界が開け、目の前に独立峰が姿を現した。岩手山とよく似ている

 急ぎ足で北へ向かう中、韓国人ハイカーのキム・ジンメンさん(39)、長男ユンさん(14)と出会い、歩調も合ったので数週間一緒に歩くことになった。

 ジンメンさんはトレイルを踏破するために塾講師を辞め、ユンさんは中学校を1年休学したという。ジンメンさんが「学校では知識を重んじるが、人生で大切なのは経験。井の中の蛙(かわず)になってはいけない」と力説していたのが印象に残る。寝付く前、彼らとたわいのない話をしながら熱い茶を飲むのが至福の時間だった。

夕日に照らされたジェファーソン山を望む

 山容は変わり、森の中を歩いていると突然目の前に独立峰が姿を現す。標高が倍ほど違うのに、岩手山に見えてくるから不思議だ。

 コロンビア川を渡ればいよいよワシントン州。長かった米国のトレイル生活にも終わりが見えてきた。

(2月17日掲載)