道はどこまでも 米ロングトレイル挑戦記①

「炎熱」乾く体、潤う心
南カリフォルニア編1123キロ
(2018年4月23日~6月13日)
 

PCTの南端出発点にあるモニュメント

 メキシコ国境近くのカンポという小さな街にある出発点を4月23日、国境を示す無機質な鉄の壁を背に歩きだした。

 カリフォルニア州の特徴といえば乾燥した気候だ。水を飲んでもボトルを口から離した瞬間に舌が乾いていき、道沿いに生えている草花は触るとパリパリと音を立てて崩れる。はるかかなたまで広がる砂の大地は西部劇の世界をほうふつとさせた。

広大な砂漠地帯を進む。強烈な日差しから身を守るため、日傘を差すハイカーも多くいた

 最初の難関はカンポから900キロほど歩いた辺りにあるモハーベ砂漠だった。ほとんど立ち木がなく、午後5時をすぎても気温30度を下回らない。日中に歩くのは危険なので、多くのハイカーは夕方から夜明けにかけて歩く。闇の中で1人歩いていると、地平線の先に見える小さな街の明かりがとてもまぶしく見えた。

 生命線となる水は、先行するハイカーから情報を得て沢などで補給する。寄生虫がいるため、必ず浄水器を通さなければならない。緑色に濁った水や虫が浮いた水も飲んだが、炎天下ではごちそうに感じた。

沢水を浄水するハイカー。寄生虫対策で必ず浄水器を通さなければならない

 テントを張らずに寝る「カウボーイキャンプ」も試みた。乾燥と高温だからこそでき、ガラガラヘビなどに襲われる危険はあるが、解放感は一度味わうと病みつきになる。寝袋から頭だけを出して見上げた星空は、宇宙をそのまま見ているような輝きだった。

(1月12日掲載)