㉘花巻傘(花巻市)

父子の絆 伝統つなぐ

2018年9月23日


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 「カンカン、パキッ」と竹を割る。県内で唯一、和傘を作り続ける花巻市高松の滝田工芸の3代目、滝田信夫さん(65)が伝統を守る「花巻傘」には、たぐいまれな技術が光る。

 父で2代目の故信吉さんが、「俺の代で終わりだ」と知人に漏らしていたことを知った24歳の時、勤めていた会社を辞めて傘作りを始めた。信吉さんから継いでくれと言われたことはなかったが、がむしゃらに傘と向き合い、約40年間腕を磨いてきた。

 たどり着いた花巻傘は、美しさと実用性を兼ね備える。開けば「パリパリパリッ」と和紙が音を奏で、亜麻仁油の香りが広がる。
 
 ここに至る生活は厳しかったが、妻関子さん(61)と共に乗り越えてきた。「3代目を名乗って辞めたと言われたくなかった。あと10年は続けたい」と語り、信吉さんや母の故タカさんを思う。
 「店建てたよ。頑張ったよ」

(文・写真 報道部・山本毅)

【写真=伝統を守り、花巻傘を作り続ける滝田信夫さん=花巻市高松・滝田工芸】


メモ 県内の和傘店は大正から昭和初期にかけて約120軒あったが、1961年に滝田工芸だけとなった。花巻傘は現在、主に料亭や旅館などで使われており、年間約150本を仕上げる。蛇の目傘は1万8千円から、番傘は1万円から。問い合わせは滝田工芸(0198・31・2128)へ。