㉖鉈屋町の迎え火(盛岡市)

夕闇 幽遠の揺らめき

2018年8月19日


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 夏の太陽が照り付け、連日30度を超す暑さが続いた県内。立秋を過ぎ、岩手の夏は間もなく終わりを告げる。

 14日夕方、昔ながらの木造建築が並ぶ盛岡市鉈屋町の盛岡町家。「パチパチッ」と音を立て、盆の迎え火がゆらゆらと燃える。ゆっくり日が沈み夕闇が深さを増すと、格子から漏れる光が奥ゆかしい世界をあやなす。

 迎え火は先祖の霊が戻るための目印。「母も喜んで帰ってきたんじゃないかな」。町家サロンピッピ・ピッピ手芸教室の吉田真理子さん(71)が穏やかに炎を見つめ、夫の政弘さん(74)が作った回り灯籠がぼんやりと通りを照らす。

 浴衣に身を包み、花火を楽しむ子どもたち。「シューッ」と火花を散らし、赤や緑に色を変え、余韻を残して消える。煙は夏のぬるい風に吹かれ、夜空へ流されていく。

(文・写真 報道部・山本毅)

【写真=迎え火をたき、浴衣姿で花火を楽しむ子どもたち。町家の明かりが夕闇に輝く=盛岡市鉈屋町】


メモ 盛岡町家が並ぶ鉈屋町かいわいは、藩制時代から明治時代に北上川舟運の拠点となり、城下の入り口に当たる重要な場所として栄えた。1884(明治17)年の大火で大半が焼けたが再建され、今は約40軒の町家が残る。