⑱桜吹雪(雫石)

はかないから美しい

2018年5月5日


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 風薫る春。厳しい冬を越え、つぼみからようやく花開いた桜はひとときの輝きを放ち、瞬く間に散っていく。

 雫石町の雫石川園地ではトンネルのような桜並木が続き、雫石川のせせらぎが心地よい。川の上ではこいのぼりが風に乗って泳ぐ。周辺の田んぼでトラクターのエンジン音が響き、土の匂いが漂う。見渡せば残雪の岩手山と駒ケ岳がそびえる。


 「ホーホケキョ」。ウグイスが愉快にさえずる。びゅうっと風が吹き、桜の花びらが一斉に舞い散る。「ザワザワ、ザァー」。風が強まり、桜の木が波の音のようにざわめく。淡いピンクの花びらが無数に空に舞い、吹雪のように一面を白く染める。

 「雪が降ってるみたい」。家族で訪れた徳田瑠衣(るい)さん(盛岡・仙北小2年)が、弟の光志(こうし)ちゃん(4)と元気に走り回る。

 桜は、はかないからこそ美しい。花びらは飛んでいく。どこまでも、どこまでも。

(文・写真 報道部・山本毅)

【写真=風に乗り、ひらひらと舞い散る桜の花びら。季節は移り変わっていく=雫石町・雫石川園地】


メモ 雫石川園地の桜並木は、御所湖の湖岸堤沿い約1・5キロにソメイヨシノが並ぶ。国、県、盛岡市、雫石町が御所ダム周辺環境整備構想の一環で、1980年に約150本を植樹。2016年には雫石町を代表する景勝地として「雫石十四景」の一つに選定された。