⑫浄土ケ浜(宮古)

潮騒、瞬く星々の記憶

2018年3月11日


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 大地が突然激しく揺れ、津波がまちをのみ込み、多くの命を奪った。7年前の3月11日、あの日のことは忘れることはない。寒さと不安を抱えたまま身を寄せ合った。暗闇の中で、満天の星だけは輝いていた。

 宮古市を代表する景勝地浄土ケ浜。東日本大震災で流木やごみが無数に打ち上げられた。現在は穏やかな情景が広がる。

 午前1時すぎ、月明かりもなく辺りは暗い。見上げると、無数の星が澄み切った空に瞬く。岩肌がシルエットで浮かび上がる。

 「ザァー、ザァーッ」。足元に寄せては返し、静かに繰り返す潮騒。心地よいリズムが静寂に響く。約300年前、宮古市の常安寺の霊鏡龍湖(れいきょうりゅうこ)和尚が「さながら極楽浄土のごとし」と感嘆し名が付けられた。浄土ケ浜は震災前と変わらぬ美しい姿を取り戻した。

 夜明け前、徐々に水平線がオレンジ色に変わり始めた。海と空の間にラインを引く。新たな一日が、また始まる。

(文・写真 報道部・山本毅)

【写真=波の音が響く中、浄土ケ浜に降り注ぐように輝く星々=宮古市日立浜町】


メモ 浄土ケ浜は白い流紋岩が特徴で、青い海とアカマツの緑とのコントラストが美しい景観を醸し出す。震災で流木やごみが打ち上げられ、遊歩道やレストハウスも被害を受けた。2013年には三陸復興国立公園に指定されている。