⑩サイトギ(二戸市)

寒空照らす託宣の炎

2018年2月22日


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 午後9時前、気温は氷点下5度以下。水ごりで身を清めた下帯姿の男衆は、ほら貝の合図とともに何度も燃え盛る井桁に立ち向かう。渾身(こんしん)の力で棒を振り下ろすと「バチバチッ」と音を立て舞い上がる火の粉が夜空に吸い込まれていく。

 二戸市似鳥の似鳥八幡神社(佐藤清寿(せいじゅ)宮司)で21日夜に行われた奇祭サイトギ。五穀豊穣(ほうじょう)と無病息災を願う同神社の例大祭は毎年、旧暦1月6日に行われ、400~500年以上の歴史があると伝わる。高さ約2・7メートルに組み上げた木を燃やし、火の粉が舞う方角などでその年の作柄を占う。

 市内外から26人が参加。「おりゃー」「よいしょー」。降りかかる火の粉と、観衆の熱い視線を浴びながら長さ4メートルの棒で井桁を上下に揺すると、火柱が厳冬の夜空を真っ赤に染めた。

 火の粉は南の方角に流れ、今年は「豊作」のご託宣が下された。漆黒に揺らめく炎は、参加者と見守る人たちの願いを導くように赤々と燃え続ける。

(文・写真 報道部・山本毅)

【写真=勢いよく井桁を揺さぶる男衆。火の粉が夜空に浮かび上がる=21日、二戸市似鳥・似鳥八幡神社】


メモ サイトギは火の粉の舞う方角と、オコモリと呼ばれる五穀を炊いて剣状に盛り、凍らせた供え物の崩れ具合から、その年の農作物の作柄を占う。火の粉が神社の南側に流れると豊作、北側に流れると不作になるといわれている。