⑥神子田朝市(盛岡)

食卓へと続くわだち

2017年12月25日


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 盛岡市民の台所として長年親しまれている盛岡市神子田町の神子田朝市。冬の夜は長く、早朝の空は深い色を帯びている。

 「カタカタカタカタッ」。午前4時半すぎ。氷点下の寒さの中、リヤカーを引く音が近づいてきた。雪道を苦にせず軽い足取りで現れたのは、盛岡市東中野の鎌田マサ子さん(75)だ。

 「おはようございます」。満面の笑みで見慣れた顔にあいさつを交わす。リヤカーに積んだ野菜などを売り場に並べ、午前5時の営業開始に備える。30年以上朝市に出店し、約1キロ離れた自宅からリヤカーを引き続けている。「車の免許がないだけ。体がエンジン代わりなんだよ」と笑い飛ばす。

 冬場はまきストーブを囲み、仲間と談笑する時間が楽しい。年末に向けて正月飾りに使うナンテンなどを並べる予定だ。「この柿、甘くておいしいんだよ」「どうもどうも」。白い息を吐きながら、市民の食卓を支え続ける。

(文・写真 報道部・山本毅)

【写真=夜明け前の群青色の空の下、笑顔でリヤカーを引く鎌田マサ子さん=盛岡市・神子田朝市】


メモ 神子田朝市は盛岡地区生産者立売組合(中村久和組合長)が運営する。1968年に組合を立ち上げ、盛岡市南大通に朝市を開設。77年、現在地に移転した。営業時間は午前5時~同8時半。祝日を除く月曜定休。31日まで営業し、来年1月5日まで休業。初売りは同6日。