季節感が際立つ岩手の四季、各地に息づく郷土芸能の数々、恵みをもたらす豊かな海と大地-。魅力にあふれた、さまざまな音がそこにある。時に心を癒やし、体を震わす。じっくり耳を澄ますと、聞こえる音もある。県内各地を巡り、音が聞こえる被写体にカメラを向ける。

(随時掲載)

㉒岩崎鬼剣舞(北上)

炎に映える仏の化身

2018年7月21日


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 大自然に囲まれた北上市和賀町の秘湯、夏油温泉。「バチバチッ」。午後7時半、元湯夏油の駐車場で夕闇を照らすかがり火が赤々と燃え上がる。郷土芸能鬼剣舞の源流とされる岩崎鬼剣舞(和田勇市庭元)が勇壮に舞う。

 「一番庭」「刀剣舞の狂い」など4演目を披露。「おぉっ、はっ」。気迫あふれる声を上げ、わらじに真っ赤な赤たすき、白や青などの面を着けた踊り手が仏の化身となってしなやかに踊る。「カシャンカシャン」と手平鉦(てびらがね)を鳴らし、抑揚のある笛の音が山奥に響き渡る。


 鬼剣舞は1300年の歴史を持つとされ、念仏を唱えながら踊り、無病息災、五穀豊穣(ほうじょう)などを願う。北上市では岩崎鬼剣舞と滑田(なめしだ)鬼剣舞が国の重要無形民俗文化財に指定され、両鬼剣舞から秘伝書を伝授された2系統13団体が伝承している。

 岩崎鬼剣舞保存会の八重樫俊一会長(68)は「古くから伝わる踊りをできるだけ変えずに継承していきたい」と未来への思いを紡ぐ。

(文・写真 報道部・山本毅)

【写真=かがり火が燃え上がる中、勇壮に踊る岩崎鬼剣舞=北上市和賀町・夏油温泉】


メモ 鬼剣舞は念仏剣舞の一つで、異形の面を着けて踊るため鬼剣舞と呼ばれる。夏油温泉鬼剣舞かがり火公演(夏油温泉開発連絡協議会主催)は8月18日までの毎週土曜日(4日を除く)、午後7時半~同8時。

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