岩手日報社と岩手大は共同で、県内の小学校、中学校、高校と特別支援学校50校の児童生徒と教職員を対象に、防災など学校安全に関するアンケート調査を初めて行った。学校で教職員から東日本大震災の話を定期的に聞いていると答えた児童生徒は50・1%で、津波から命を守る教訓として知られる「津波てんでんこ」の言葉を理解しているのは27・5%にとどまった。震災から間もなく9年で、教訓の伝承が課題となる中、学校と地域一体の取り組みは一層重要性を増していく。

(記事全文は3月6日付岩手日報本紙か岩手日報デジタル版でご覧ください)

東日本大震災「定期的に聞く」は半数

 「震災について学校の先生から話を聞くことがあるか」の設問に対し「ほとんど聞いたことがない」と答えた児童生徒は24・9%。教職員にも学校で震災について話す頻度を尋ねたが、「ほとんど話さない」は17・6%で、児童生徒の受け止めと開きがあった。

東日本大震災について学校の先生から話を聞く頻度(%)

学校活動の中で東日本大震災について児童生徒に話す頻度(%)

薄れる てんでんこ

 アンケートでは、津波てんでんこを「聞いたことがない」とした児童生徒が33・6%を占め、「知っているが意味は聞いたことがない」「知っているが意味は忘れてしまった」と合わせて、7割超が言葉の意味を理解していない現状が浮き彫りとなった。
 一方、教職員は84・8%が「よく知っている」と答え、年代が上がるほど認知度が高くなった。てんでんこの意義をどう復興教育に落とし込み、意義を伝えていくかが問われている。

「津波てんでんこ」という言い伝えを聞き、意味も知っている(%)

家庭の話し合いで備え意識

 子どもたちが家族から東日本大震災の話を聞く頻度は、「あまり聞かない(数年に1度程度)」と「ほとんど聞かない」が計60・8%に上った。災害が起きたらどうするかを、家族と「あまり話し合っていない(同)」「ほとんど話し合っていない」とした回答も62・6%で、災害や防災への家庭での関心は低調だった。家庭で話題になる頻度が高い子ほど普段からの備えにつながっており、家庭教育の重要性が示された。

家族から震災の話を聞く頻度(%)

災害時の行動を家族と話し合う頻度(%)

「生きた素材」が学びに

 東日本大震災の教訓を学校教育に生かす「いわての復興教育」。教職員が活用する資料(複数回答)は、「副読本」が42・2%と最多で、「新聞」が39・6%と続いた。東日本大震災津波伝承館(陸前高田市)やいのちをつなぐ未来館(釜石市)など「伝承施設」も18・6%が回答。復興の実情を伝える「生きた素材」が学びにつながっている。

いわての復興教育で活用する資料(複数回答)(%)

 【調査方法】2020年1、2月に県教委のいわての復興教育推進校50校を対象に実施。48校の児童生徒(主に小学5年、中学2年、高校2年)2171人と教職員790人から回答を得た。児童生徒の内訳は小学生451人、中学生356人、高校生(定時制を含む)1329人、特別支援学校の児童生徒35人。教職員(任意回答)は小学校208人、中学校119人、高校399人、特別支援学校46人(無回答18人)。