⑧被災地を歩く 大船渡市大立・永浜地区 色づく新たな町並み

   

【写真=2011年3月24日、11年12月24日、17年4月17日、19年2月19日】


【写真=2017年4月17日、19年2月19日】

 大船渡市赤崎町大立(おおだち)・永浜(ながはま)地区の高台団地に、1年10カ月ぶりに立った。造成を終えたばかりで無色だった場所に、住宅(23戸)や公民館などが立ち、色づいた町並みが広がる。

 この地域を歩くたび起点にしていた海沿いの永浜地域仮集会場は、復興を目指す地域の拠点としての役目を果たし、昨年末に解体された。わずか築3年で津波を受けた自宅を改修し、提供した志田正二さん(73)も高台での暮らしが始まっていた。

 復興委員会委員長として集団移転を引っ張ってきた志田さんは「誰かがやらなければと思い、何も分からないところからやってきた。みんな、高台に上がって良かったと思ってくれればいいが」と思いを巡らす。

 「地域のつながりを守りたい」と努力しながら、団地内に県道9号の新ルートを整備する兼ね合いなどで、移転に時間を要した面もあった。希望者も他地区に移るなど当初よりおよそ半減した。

 「やっとだね」。会社員の志田永二さん(53)が仮設住宅から新居への引っ越し作業をしていた。「同じ被災経験をして助け合ってきた顔見知りがいると気が楽だ」と地元にこだわった。高台からは大船渡湾、永浜湾を望み「どんな災害に遭ってもやっぱり海が見えたほうがいい。浜育ちだから」と熱っぽい。

 高台につながる避難路を浸水域方向へ下ると、震災直後、被災した地域住民約100人が身を寄せた民家群にたどりついた。受け入れた一人、金野京子さん(66)は「あの時は『生きなければいけない』と一生懸命だった」と振り返り、「やっとみんな落ち着いた」と思いやった。

 「あれから8年」。それぞれの思いが詰まった住民の言葉を思い返しながら現地を後にした。