⑥被災地を歩く 山田町小谷鳥集落 漁業、地域維持に懸念

   

【写真=2011年3月25日、11年12月18日、15年10月14日、19年2月16日】


【写真=2011年3月25日、19年2月16日】

 山田町船越の小谷鳥(こやどり)集落を1年9カ月ぶりに訪れた。いつもより近く感じたのは高速道路網の整備が進んだからだろう。

 新しい巨大な防潮堤の横を抜け、小谷鳥漁港に下りると重機の音が響く。防波堤や船揚げ場は修復され、仕上げの周辺道路整備にかかっていた。陸から見える部分はきれいに復旧したが、漁業者には海の変容を不安視する声が渦巻く。

 コンブなど海藻が激減する「磯焼け」が、この地域でも発生。山崎練磨さん(71)は「ウニやアワビが全然取れない。餌がないから」と唇をかみしめる。別の男性は「イセエビやマダコ、カサゴなど暖かい海のものが取れるようになった。漁の仕方は変わるし、そうした魚種に需要があるのか」と気をもむ。気候変化の波が小集落にも押し寄せていた。

 集落のハード整備は完了に近づいた。被災した集会所の代わりに新しいコミュニティーセンターが高台団地に整備される。2019年度中に完成し、集落内では町が整備する最後の復興事業となる見込みだ。

 大浦小(佐藤あい子校長、児童19人)統合のニュースも地域を駆け巡っていた。2月上旬に示された町の小中学校再編計画では20年度から新設校に統合される。小谷鳥集落の児童は18年3月の卒業生が最後だ。

 総合学習ではホタテ養殖やシイタケ栽培など地元産業を体験してきた。佐藤校長は「昔から教育振興が熱心な地域。唯一の文教施設がなくなりコミュニティーがどうなるか」と案じる。

 集落では小正月に鬼が家を巡る「なごみ」が数年前に途切れた。

 卒業生の漁業佐々木隆夫さん(69)は「大勢での学校生活の方が子どもにとってはいい。でも学校がなくなると行事の復活も難しくなる」と複雑な表情を見せた。