⑪被災地を歩く 釜石市唐丹町小白浜地区 高齢化に負けない絆

   

【写真=2011年3月15日、11年12月22日、13年4月9日、19年2月27日】


【写真=2011年3月15日、19年2月27日】

 釜石市唐丹町の小白浜地区を約5年ぶりに訪ねた。東日本大震災の大津波で破壊された高さ12・5メートルの防潮堤は、来年3月の完成を目指し、同14・5メートルで復旧工事が進む。堤防の外側には穏やかな水面の唐丹湾が春の日差しを受けて輝いていた。

 唐丹町漁協の事務所では木村嘉人組合長(65)が出迎えてくれた。同漁協は震災直後の2011年4月に事務所と漁船の改修に着手。13年度には全施設の復旧を終え、地域の復興を先導してきた。

 「しかし、肝心の漁が振るわなくて」と木村組合長の表情は険しい。同漁協の扱い高は震災前(10年度)の2299トン、約5億9300万円から17年度は1764トン、約5億1800万円に減少。近年は、震災後好調だったアワビやホタテの不漁に悩まされている。

 2月末現在の組合員は325人で震災前の7割ほどになり、60歳以上が78%と高齢化が進む。木村組合長は「漁家1人当たりの収入は上がった。何とか若返りを図りたい」と奮起する。

 震災直後に住民総出で道路のがれき撤去に励んでいた小白浜の中心街は27戸の復興住宅が整備され、新たな姿になっていた。仮設住宅が並んでいた高台は住宅地となり、近くを開通間近の三陸沿岸道路が通る。

 震災の4日後、11年3月15日から話を聞いている山田純一さん(67)を訪ねると、「おー、久しぶり。元気だったか」と明るい声が返ってきた。経営する「理容山田」は新装オープンし、地域の憩いの場になっていた。

 「普通の小白浜に戻ってきたなぁと感じる。世帯数も震災前とあまり変わっていない。力を合わせて頑張っていくよ」と山田さん。近所の住民と語り合う姿に、地域の絆がより強まっている印象を受けた。