⑩被災地を歩く 大槌町中心部 待ちわびる三鉄の音

   

【写真=2011年3月13日、11年6月16日、114年6月22日、20年2月28日】


【写真=2011年3月13日、20年2月28日】

 大槌町を訪れたら城山公園展望台から中心部を定点観測することにしている。今回は2月27、28の両日に訪れた。まちの変化を感じようと続けているが、土地区画整理事業の工事が終了し、以前のようなダンプカーや重機のエンジン音は聞かれなくなった。

 造成工事の現場から響く「復興のつち音」を思い出しながら、展望台の静けさの中でたたずんだ。住民生活も当時と比べ個人差はあろうが、穏やかで落ち着いた平静さを取り戻しつつあるのだろう。

 住宅再建、そして恒久住宅に移りつつある。コミュニティー形成も進み、町役場に近い本町地区では自治会組織に準ずる住民班が4班構成で活動する。ごみステーションの管理や町広報の配布など生活に最低限必要な業務を担う。

 他地域から移住した住民も多く、高齢化率は45%というエリア。2班の班長を務める小林渉さん(79)は「自分は班長で各戸を歩いているから住民の顔が分かるが、そうでない住民同士は顔を覚えていないケースもある」と課題を挙げ「高齢者が多い地区。東日本大震災や昨年の台風19号を経て、災害時に助け合える関係が必要だという思いが強くなった」と、住民間のつながりが感じられる地域を目指し構想を描く。

 20日に全線運行再開となる三陸鉄道。震災前は大槌駅近くの線路沿いは住宅が張り付き、時間通りに走る列車は音で住民に時刻を知らせてくれた。

 「もう起きる時間だ」「お昼の支度をしなくちゃ」。同町栄町に住んでいた小林さんも列車の音を時計代わりにしていた。

 町観光交流協会の職員、西舘さつきさん(29)は「列車の音で震災前の生活の一片が戻り、心が晴れると感じる人もいるはずだ」と運行を待ちわびる。