SDGs未来都市とは?

 内閣府は2018年から「SDGs未来都市」の選定を行っています。2021年度までに、SDGsの理念に沿った取り組みを推進している都市・地域の中で、経済・社会・環境の三つの視点における新しい価値の創出に積極的に取り組んでいる124都市が選ばれました。岩手県では、これまでに岩手町、一関市、陸前高田市が選ばれ、県内の自治体でSDGsの取り組みをけん引しています。

岩手町
全ての人に喜びと誇りを

 岩手町は2020年にSDGs未来都市に選定されました。2030年のあるべき姿として、「岩手町に関わる全ての人が主体的に、互いに連携・協力し合って町の持続可能性を高めていくことに深い喜びと誇りを感じている状態」を目指しています。

 そのために▽シビックプライド(町に誇りを持ち、自分たちの地域は自分たちで創っていくという主体者意識)を持った参画型のまちづくりの醸成・高まり▽ブランド価値の向上▽「SDGs姉妹都市」との連携―を進め、持続可能性を向上させるビジョンを描いています。

シビックブライド
まちの未来図「I-Valley」

 「あるべき姿」の実現に向け、まちの未来図として掲げているのが「I-Valley(アイ・バレー)」。これは、自然との共存を技術革新との連携によって図ることを目的に、“社会の実験場”として認知されるような先進的なモデル地域の構築を目指すものです。

 農業や林業、エネルギー、スポーツ、アートなど幅広い分野で、新たな技術を取り入れた課題解決や地域振興のプロジェクトが想定されています。

 「I-Valley」の概念図がスケッチ風に描かれているのは、今後の町民の主体的な参加により、まちづくりの方向性が柔軟に変化していくという思いが込められているからです。

「I-Valley」」の概念図

「I-Valley」」の概念図

一人一人が考える新しいまちの価値

 これまでの行政や経済価値にこだわらない新しい価値を町民自らが考え、主体的に動いていくまちへ変わっていくための「岩手町SDGs未来都市共創プロジェクト」が、2020年に立ち上がりました。

 同プロジェクトでは現在、①リビングラボ②岩手町×丸の内SDGsTour③起業セミナーの三つの取り組みが進んでいます。

 「リビングラボ」は、「町民一人一人が自分はまちのために何ができるか」を考える場として2020年に発足。同町の強みである農業や林業、スポーツ、アートを軸に未来像を話し合い、そこで生まれたアイデアを検証していきます。

リビングラボ

町民がまちの課題や未来について話し合う「リビングラボ」

 「岩手町×丸の内SDGsTour」は、東京で同町のSDGs未来都市の取り組みを紹介するイベント。千代田区の三菱ビルなどで、2021年3月と8~9月の2度開催しました。持続可能なまちの実現に向け地元で活躍している人をパネルで紹介したほか、工夫が凝らされた特産品の展示や販売を行いました。

 「起業セミナー」は、SDGsの視点を持つ人を増やすために、起業を目指す人や学生を対象に開かれています。これまでに、県立沼宮内高校を対象に、全5回の授業を通した起業体験プログラムなどを実施しています。SDGsのゴールを達成するために動くのは「人」であり、「まちづくりは人づくり」という視点を大切にして、学ぶ機会の提供にも注力しています。

岩手町×丸の内SDGsTour

東京で岩手町の取り組みを紹介するイベント「岩手町×丸の内SDGsTour」

詳細は、「岩手町SDGs未来都市共創プロジェクト」HPへ

岩手町長からメッセージ
「農業」「スポーツ」「アート」三つを軸に文化発信

 町の人口減少をきっかけに、持続可能なまちづくりに着手しました。SDGsに取り組むことで、「農業」「スポーツ」「アート」といった町の文化が「点」ではなく、「面」として広がりを持つものになると考えています。岩手町が誇る文化を磨き、皆が誇れるまちを目指します。

 そして「こんな町にしたい」と町民の皆さまが想像を広げ、前向きな未来を語り合うことが「あるべき姿」の実現には必要です。2030年、どんな未来を思い描き、どんな行動をしていくのか。町民参画の話し合いの場「リビングラボ」や地域内外の人と協力していく「I-Valley」で、一緒に未来を語り創っていきましょう。

佐々木光司

一関市
未来を見つめ、世界が憧れるまち いちのせき

 2030年のあるべき姿として「未来を見つめ、世界が憧れるまち いちのせき」を掲げています。将来、まちづくりの主役となる若者がまちづくりを「自分ごと」として捉え、積極的に関わってもらえるような仕組みが特長で、中高生を対象にしたワークショップでの意見を基に策定しました。

 市長と高校生がまちの未来を語り合う「市長と話リング(しゃべりんぐ)」などを開催し、若い世代がまちづくりに自然に参加できる環境を大切にしています。まちを育てることが若者を育てることにつながっており、若者目線のSDGsの考えを取り入れることで、2040年、2050年の未来も見据え世界が憧れるまちの実現を進めています。

ワークショップ

高校生を対象にしたワークショップ


陸前高田市
ノーマライゼーションという言葉のいらないまち

 陸前高田市は、「ノーマライゼーションという言葉のいらないまち」を2030年のあるべき姿として掲げています。東日本大震災後のまちづくりにおいて、すべての人は平等であるという考えのもと、障がいのある人もない人も、若者も高齢者も誰もが快適に過ごせる社会の実現を目指しています。

 具体的には、障がい者スポーツやeスポーツなどのイベントを積極的に誘致することで、ユニバーサルデザインや「心のバリアフリー」を推進し、同時に関係人口や交流人口の拡大も図っています。ほかに、日常生活の中で取り組めるSDGsの事例をまとめた市民向けのパンフレットやポスターを配布し、共生社会の実現に向けた意識の醸成に取り組んでいます。

陸前高田市

誰もが快適に過ごせる社会を目指す陸前高田市