残された稲穂から紡いだ縁 「大槌米」で復興の酒完成


 東日本大震災のがれきの中で見つかった稲穂から育った米を使った特別純米酒「大槌復興米 たえの酒」の発表会は17日、大槌町大槌の大槌たすけあいセンターで行われた。稲穂を見つけた同町大槌の菊池妙(たえ)さん(76)は津波で自宅が流失。酒の仕込みを行った上閉伊酒造(遠野市青笹町)の新里佳子社長(49)は、大槌町新町の実家に住んでいた両親が犠牲となった。自宅や家族を失いながらも、ふるさとの復興を願う2人の思いが結実し、新たな町のシンボルが誕生した。

 発表会には関係者ら約30人が参加。復興米育成に携わったNPO法人遠野まごころネットの臼沢良一理事長が「多くの皆さんの支援でできた幸せな酒だ。復興のシンボルになってほしい」とあいさつ。参加者はすっきりした味わいで、ほんのり甘さが残る新酒を堪能した。

 大槌復興米の稲穂は2011年秋、同町安渡(あんど)の自宅跡地を見に行った菊池さんが発見。自宅近くでは住民約50人が犠牲になった。悲しみに暮れていた菊池さんは、長さ30センチほどの稲穂3株を見て命のはかなさと強さを感じた。

 その稲穂を元に同法人が中心となって12年から栽培を開始。現在は大阪府でも栽培され、熊本地震の被災地にも寄贈されている。「大槌の名を全国、世界に広めたい」との思いから、今年2月に新里社長の協力で上閉伊酒造での酒の仕込みが始まった。菊池さんは「自分の名前がお酒の銘柄になるのは光栄だが、恥ずかしい思いもある。復興米が形を変えて世界に羽ばたいてほしい」と願いを込める。

【写真=「大槌復興米 たえの酒」の完成を祝い、乾杯する新里佳子社長(左)と菊池妙さん(中央)=17日、大槌町大槌・大槌たすけあいセンター】

(2017/06/18)

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