これまで、本連載では数々の“脇役”にスポットを当てたモデラーの作品を紹介してきた。ダフさん(@1970hkong)の近作も、ガンダムを代表する“脇役”キャラのジムを主役に据えたもの。一年戦争最後の戦いの舞台“ア・バオア・クー”で、エース機が激戦を繰り広げる裏で、戦地に立ち尽くすジムを、ウェザリングで見事に表現した。なぜ、哀愁漂うジムをメインにした、このようなシーンを生み出したのだろうか? 同氏に話を聞いた。

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■戦場を這いずり回り不格好に任務を遂行…そんな“陰”の世界を表現

――激戦のあとを物語る背景やジムのウェザリングが見事な作品が、SNSでも注目を集めました。本作はどういった物語をイメージして、制作されたのですか?

【ダフ】ありがとうございます。物語の舞台は、一年戦争“ア・バオア・クー”攻略戦の最終盤。戦闘が激化する中、物語は両軍のエース機、つまり<光>を中心に進んでいきますが、その裏で、名も無き兵士たち<陰>も、最前線で散っていった仲間を想い戦闘を続け、ドロドロとした戦場を這いずまわり、不格好でも任務を遂行していきます。そんな男たちの物語を表現しました。

――<陰>を主役に…と考えると、哀愁漂う佇まいのジムが主役なのも納得です。

【ダフ】そうですね。格好良く・強くなくても、不格好で弱々しくても、淡々と任務を遂行する<陰>を、<光>を超える存在に、表現したいと思い、見せ方を工夫しました。 次々に散って行く仲間、恐怖、絶望感、戦わないと生はない、生きるためにそこで戦う。そういう意味で、<光>ではなく<陰>に魅力を感じます。<陰>なくして<光>の物語は成立しません。

――1枚の「画」の力が見事です。

【ダフ】ありがとうございます。物語を切り取った1コマにするためのバランスは、こだわりました。やり過ぎるとわざとらしくなるし、控えめにするとリアル感が出ないので苦労しました。また、制作期間のほとんどはウェザリングでした。毎日毎日楽しかったですよ(笑)。

――最初から「画」をイメージしながら制作されるんですか?

【ダフ】頭の中で物語を流し、着地地点を設定。流れの中でモビルスーツ(MS)を動かし、動き、存在感を感じながら組んでいきます。そうすることで勝手にMSが物語を作ってくれます。抽象的な言い方なんですが、この“脳内妄想”を一番大切にして模型活動を行っています。本作の場合、<陰>を主役にし、「<陰>の存在感を表現する為どうするのか?」を考え、ポーズもライトも何度も調整を繰り返し、イメージに近づけるために、レイアウト変更を繰り返しました。

■背景の“鉄骨”は、プラモパーツの枠を再利用「使える物は使う」

――背景の鉄骨には、ウェザリングされたランナー(プラモデルのパーツの枠)が使われておりますが、なぜランナーを使用されたのですか?

【ダフ】エコです。使える物は使う、手元に有るもので工夫して仕上げる。それは、プラモデル以外でも考えていることです。買えば何でも格好良く、楽にきれいに出来ますが、それでは面白くない。ランナー1つとっても、ゴミになるものが、目線を変える事で1つのオブジェに化けます。考えて工夫し、工作することがプラモデル制作での醍醐味だと思います。

――素晴らしいですね。SNSで本作を発表された後、そのあたりを賞賛するコメントもあり、大きな反響があったかと思います。この反響をどのように受け止めていらっしゃいますか?

【ダフ】とんでもない事件ですね(笑)。これだけ大反響があるとは思わず、ビックリです。自分が制作したものをたくさんの方々に見てもらえ、共感してもらえる。「手持ちのジム作ってもらいたい」「待ち受けにしても良いですか」など思ってもいなかったコメント、ありがたいです。同じ趣味を持つモデラーさんとの会話楽しいです。本当に嬉しいことです。

――SNSでの反響を楽しんでいらっしゃるようですが、ガンプラ歴に比べ、SNSでの作品発表は割と最近スタートされたんですね。

【ダフ】制作した作品をツイッターで募集し、YouTubeで紹介してくれるというチャンネルがあり、一度応募してみようかなぁと思ったのが始めた理由です。同時に作った物を見てもらいたいなぁとの思いから発表しました。工作の知識だとか技術的なものは全然なので恥ずかしかったですけど、実際に反響があり驚いてます。趣味の世界が認められ、今の時代、本当に温かい方が多いなとうれしくなりました。感謝。

――ガンプラという共通項を持つことで、素晴らしいコミュニティに出会えてますね。それでは、最後にダフさんにとって「ガンプラ」とは?

【ダフ】幼馴染みであり、一生付き合える友人です。これからも、物語の1コマを切り取った臨場感、見て色々と想像できる作品を楽しみながら、「画」にこだわって制作したいと思います。