今月15日、1ヵ月の休養を終え仕事復帰した女優・松本まりか。ドラマ『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)で演じた小悪魔的な魅力で“あざとかわいい”のムーヴメントを巻き起こし、その後も幅広い役を好演。確かな演技力と透明感あるルックスで人気を集めるなか、突然の休養が話題となっていたが「実はスリランカに行っていました。人生観、変わりましたね」と明かした。かの地で何を想い、何を感じたのか、彼女自身の言葉で語ってもらった。

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■「スリランカで過ごした“普通の毎日”が人生観を変えた」

――松本さんはここ数年、かなり多忙でしたね。

【松本まりか】はい。おかげさまでお仕事をたくさんいただけて嬉しかったですけど、数年間ほとんど休みがなくて。先日、1ヵ月ですが長いお休みを頂いたんです。その間はスリランカに行ってました。一人で行って、とにかく“自分の生活”っていうものを久々にしました。ご飯を食べて、お風呂に入って、寝る。朝、少し運動して、ふらっと外を歩いて、通りすがりの人と会釈して……もうそれだけで幸せでした。

――いわゆる“芸能人のバカンス”じゃないですね。

【松本まりか】それが心地よかったんです。スリランカの空気感なのか、一人だけど全然一人じゃなくて。店員さん、ウエイトレスの人、トゥクトゥクのおじさんとかとめちゃくちゃ仲良くなったし、スリランカの家庭とも仲良くしてもらったし。休みの期間、友達と会うという選択もありましたが、ここに1人できたことで、いくつもの出会いがあった。友達に固執していたら、その選択にならなかったかもしれないですし。

――ひとりだけど一人じゃない…それはスリランカでの生活だからこそ感じたことですか?

【松本まりか】そうだと思います。その場その場で友達ってできたし、移ろいゆく人達だけど、ちゃんと幸せをもらえる。幸せを感じられる。だからそれで十分。これは、人生観が変わりましたね。

■“ポジティブ圧力”に同調しない「私も仲間はずれにされた経験はあります」

――どんな風に人生観が変わったんですか?

【松本まりか】何かこうみんながやっぱり、ポジティブとか、リア充の面だけを見せてしまう。キラキラした美しいものだけが重要で、そうじゃなきゃいけない、みたいな同調圧力の世の中になってきていて。多分そこに辛くなっちゃってる人達もいると思うんです。それが発端のいじめの問題とかも聞きますし。

――自分らしくいたい、でもどう見られるか不安ていう、その狭間の悩みですね。

【松本まりか】そうそう。それによく、自分らしくいればいいって言うじゃないですか。でもその自分らしくがわかんないからこそ皆、悩んじゃう訳で。間違っちゃったりもするし。だからそのキラキラしてることとか、ポジティブなことだけがいいって言われるような“ポジティブ圧力”(笑)で、しんどい人が多いんじゃないかな、と。しんどい時はしんどいって言っていいって私は思うんです。友達ができないなーとか、仲間はずれにされちゃう、とか。もちろん私だって経験ありますし。

――松本さんにも、そんな経験が。

【松本まりか】ありましたね。でもそれは、ただ“そういう時期”なんだって思えばいいし、今の世界がすべてじゃない。つらい時はもう思い切り自分をいたわってあげていいと思えるようになりました。ちょうど自分一人で成長できる機会なんだって考えたりとかもできますよね。私の場合は、何かそんなふうに生きることが自分らしく生きることなのかなって。自分の居心地のいいように生きることなのかなって思います。

――松本さんとしては、そういうスタンスの取り方が、気持ちよくて、自分がすっきりする感じ?

【松本まりか】そうなんです。もともとそういう感覚はありましたけど、スリランカで過ごす中で、それがやっと確信になったというか。大勢の仲間といるのも楽しいですよ。ただコミュニティ関係にべったりした執着心を持つんじゃなくて、距離感を持ちたいなって思うんです。

――距離感とは?

【松本まりか】年齢も男女も問わず、きっと人は移りゆくものなんですよね。来るもの拒まず去る者追わず、的な感じで、せっかく集まったら、その時はちゃんとコミュニケーションをして、それであとはもう執着しない。

――なるほど。

【松本まりか】世の中で“これが素敵”って言われる枠にはまろうとして、自分が平均化されるよりは、ちゃんと自分のやりたいことを一人で……、ついて来てくれる人がいないんだったら自分一人でいいから、やればいいのかなと。思えば無理に平均化させなかったおかげで私は色んな夢が叶ったし、そういうスタンスでもちゃんと仲良くできる人達に出会えてますし。

「37年生きてきて、ずっと求めてきたすごい真実に出会った」

――でも映画『妖怪シェアハウス~白馬の王子様じゃないん怪~』をはじめとする『シェアハウス』シリーズでは、恋人に裏切られて怨念の妖怪になる、「うらめしや~」で有名な四谷怪談の“お岩さん”こと、四谷伊和を演じていますよね。

【松本まりか】そうですね。これまで、たくさんの素晴らしい俳優さん達が演じてきた、歌舞伎でも演じられてきた役ですよね。だけど、この作品ではそのイメージを覆すような世界観だったので、すごく伊和を演じるのは楽しいです。テレビの第一シリーズを始める前に、四谷怪談のお岩さんゆかりの神社にお参りに行きました。魅力的な「四谷伊和」になるように頑張りますって。第二シリーズ、映画化決定、って進んでいくうちに「伊和さんのことがすごく好きです」って声を、女性も男性も、大人からも子ども達からも言われるようになって、わぁ良かった!って思います。

――怪談のお岩さんにある情念とか怨念が「伊和さん」だとポップに変化していて、見ていて親近感がわきます。

【松本まりか】そうそう。情念の捉え方でこんな風に変わるんですよね。やっぱり人って多面的だから、見方を変えれば親しみやすい伊和になるっていうのは、色んな人に当てはまりますよね。人は見えてる部分やイメージだけがすべてじゃなくて、ちゃんとこう多角的に人を見るとこんなにも何か素晴らしいキャラクターになるよって。それを、伊和はすごく体現してるんじゃないかなって思います。

――どんなふうに伊和さんの心を理解していますか?

【松本まりか】うーん、どうなんですかね。まぁその、情念深さっていう、こう、聞いたらやっぱりネガティブなワードじゃないですか。でもそれは一方ですごく心の熱量があるっていうことだから。怖い部分がミステリアスで色っぽい感じになってたりとか、主人公の澪に対して姉妹のように愛情深いとか。そういう、根は同じで、ポジティブに自分を出せてる「新しい四谷怪談のお岩さん」が「四谷伊和」なのかなって思います。

――この映画では澪(小芝風花)の恋愛も主軸になってきますが。

【松本まりか】詳しい恋模様は映画を観ていただければと思うんですけど(笑)。私が思うのは、恋愛で好きになり過ぎると、そこから執着しちゃう訳ですよ。人って。束縛しちゃったり、好きになって捕まえた途端、この人がいなくなったらどうしようっていう恐怖に襲われたり。そうすると恋人に対してものすごく何かを求めてしまう。でも今はそうなったら私は「大丈夫。今一緒にいるけど、人っていうのは心変わりするものだし、それがもう人間の摂理、人が生まれて死ぬっていうことが当たり前のように、人の心は移ろいゆくもの」って考えます。言いたいし、聞きたいけどやっぱり一生一緒にいようねとは言えないですね。

――悟りの境地ですね。

【松本まりか】誰でも感情のコントロールがきかない時はあると思います。一生好きでいてほしいって思うこと自体が悪いわけじゃない。けど、その思いが強くなりすぎたらきっと人は重くなり離れていくと思うんです。自分で自立してるからこそ、きっと長く一緒にいられることもある。だから、自分は自立するっていうこと、自分が自分一人で生まれて一人で死んでいくっていう覚悟を持てるような大人になりたいっていうふうに今は思ってます。

――ますます“松本まりか”という人間に深みが加わった気がします。

【松本まりか】これまでは一生懸命入れ込むだけことが素晴らしいことだって思っていたこともあったけど、今は自分の時間を持つ、自分の中心に戻るっていうこと、自分の中心っていうのが一体何なのかっていうのをまず知ることが大事なんだろうなあと。好きになっても、好きになり過ぎない。ほどほど。好きだけど、でも別の場所や人に行ってもいいんだよって。それはしょうがないねって(笑)。何かそう思えたら、すごく魅力的だと思うんですよね。

――執着しない、と。

【松本まりか】そう。そうすると、きっと結果的に人は離れないんじゃないかなって思う。でも同時に人はいつか離れてしまうもの。そのどちらもあって当たり前なんだって、スリランカで思った時、色んな重いモノが下りたような、求めてきた真実に出会ったような感覚でした。

(取材・文/高倉水樹)