那須川天心(23)と武尊(30)、現在の日本の格闘技でトップに君臨する2人による“運命の一戦”が行われる『Yogibo presents THE MATCH 2022』が、19日に開催される。昨年12月の対戦発表は日本中を驚かせ、会場は日本最大級の広さを誇る東京ドームで5万人以上を収容、さらにリングサイド最前列のチケット価格が300万円ということも大きな話題となったが、そのチケットも即完売した。

【独占動画インタビュー】天心戦に向けてボルテージMAX!意気込みを語る武尊

 日本中に待望されるこの試合は、なぜ“運命の一戦”と呼ばれるのか。多くの人が実現を期待しながらもなかなか決定しなかったこの試合が、なぜこのタイミングで実現するのか。ORICON NEWSでは、2人のファイターが1つのリングにたどり着いた軌跡を格闘技の歴史を振り返りながら紹介する。第2回の時計の針は、17歳の天心がリング上から武尊に対戦をアピールした、2015年へ。

■天心の挑戦表明を受けて、王者・武尊が堂々と宣言「K-1で試合が組まれるならいつでもやってやる」

 小学生の頃から空手の世界大会で優勝し、2014年の高校入学と同時にプロキックボクサーとして「RISE」のリングでデビューしても連戦連勝、まさに“神童”の名をほしいままにしていた天心。15年8月の試合でKO勝利後にリング上でマイクを握ると、K-1の同じ階級のベルトを獲得したばかりの新王者で快進撃を続けていた武尊に対戦をアピールした。「国内で1人やりたい選手がいる。K-1の武尊選手、かかってこいやって感じです」。その挑戦を会場のファンは熱く支持をしたが、天心の知名度やキャリアは、K-1王者として上り調子だった武尊の視界には届いていなかった。

 数日後にK-1の会見に出席した武尊は、天心からのアピールについて聞かれると「K-1の世界チャンピオンになってから、世界中から戦いたいとの声が届いていると聞いています。(天心は)その中の一人としか思っていない。K-1で試合が組まれるならいつでもやってやる。K-1の世界チャンピオンは世界一強いと自負しているので、誰とやっても負けない。必ず倒す自信があります」と語った。戦いたいならK-1に来て自分との試合にたどり着け。王者として当然の意見であり、堂々としたものだった。

 それを受けて天心は、早速行動に移す。狙いを定めたのは、この年の大みそかに新たにスタートすると発表された大型格闘技イベント「RIZIN」のリング。かつて日本に大ブームを巻き起こした「PRIDE」の後継イベントであり、フジテレビで中継されることも決まっていた。ここで武尊と戦いたい、そう考えた天心は直前の11月のRISE大会で勝利後、リング上から「年末にもう一勝負したいんですが、RIZINにぜひとも僕を出してもらえませんでしょうか?」と参戦をアピールした。

 さらに天心は大胆な行動に出る。それから2週間後に行われたK-1の試合会場に現れたのだ。リング上では、ベルトを防衛した武尊が「僕、大みそかめっちゃ暇なんでよろしくお願いします!」とこちらもRIZIN参戦をアピール。そして、花道を歩いて退場していく武尊に客席から天心が歩み寄り、握手を求めて「大みそかで!」と対戦を直訴した。

■リングにすら立てない… 悔しさをバネに“神童”那須川天心が空に舞う

 しかし、大みそかのRIZINのリングに立っていたのは、武尊だけだった。K-1王者としてフジテレビで中継された試合で堂々のKO勝利。一方の天心は、当時は知名度も、王者の武尊と向かい合う実力も足りないとみなされ、参戦することすらできなかった。

 地上波で放送された大みそかの武尊の試合について、天心は「僕はそれを実家のお茶の間のテレビで見るしかなくて。それが悲しくて。あの気持は忘れられない。俺のほうが絶対に強いのに、なんで向こうだけが注目されるんだ」と、言葉にできない悔しさを味わった(出典=『GOETHE』2022年6月号より)。

 この経験をバネに、天心はさらに飛躍する。2016年からRISEのリングで世界の強豪を相手に豪快なKO勝ちを重ね、たとえ勝利しても判定だったら悔し涙を流すほど、圧倒的な強さに飢えていた。同年12月のムエタイの王者との対戦では、アニメのような華麗なバックスピンキックを相手の顔面にヒットさせてKO勝ち。あまりにも鮮やかなキックはSNSで猛烈に拡散し、天心の強さと知名度はその鋭い打撃のようなスピードで広まっていった。そして、1年前はテレビで見ることしかできなかった年末のRIZIN参戦も決定した。

 この年のRIZINは12月29日と31日の2日間の開催で、天心の試合は29日に組まれた。しかも、キックボクシングではなく寝技ありの総合格闘技への挑戦を強いられた。試合が始まると、慣れない寝技に苦戦し相手に関節を取られかけるも抜群のセンスで危機を回避して、見事に逆転KO勝利。若きファイターの挑戦に会場から大きな拍手が送られたが、次の瞬間に歓声はどよめきに変わる。マイクを握った天心は、2日後の大みそかの試合への連続参戦をアピールしたのだ。

 関節技による負傷の影響はありながらも、2日後にもまた総合格闘技に挑戦した天心は、今度は自身が寝技を披露して相手から見事な一本勝ちをゲット。2試合連続の総合格闘技への挑戦というギャンブルに勝利した天心は、RIZINでの存在感と世間的な知名度を一気に高めることに成功した。

 快進撃を続ける天心に対し、武尊も王者としてK-1で圧倒的な強さを維持し続けた。ファンから2人の対戦を待望する声は日増しに強くなっていったが、武尊の「自分と戦いたいならK-1に来ればいい」という主張は一貫しており、ファンの期待ほど実現には近づいていなかった。

◆『Yogibo presents THE MATCH 2022』はABEMA PPVで全試合完全独占生中継。通常のアングルに加え、300万円のVVIP最前列席と同じアングルで試合を楽しめる“300万シートアングル”にて、全試合を視聴できる一般チケットが5500円、天心と武尊のそれぞれの応援チケットが7700円で販売中。