アニメ『進撃の巨人』の荒木哲郎監督と川村元気プロデューサーがタッグを組み、制作をWIT STUDIOが担った劇場オリジナルアニメ『バブル』(5月13日より劇場公開、Netflixにて配信中)より、新たな劇中カットが解禁となった。それは、目に映るものがより美しく見えるフィルターがかかったようなカット。ヒロイン・ウタが見ている世界を観客にも感じてもらうために“発明”されたものだ。

【画像】ウタ目線で見たヒビキ

 本作の物語は、荒木監督が描いた一枚のスケッチブックから始まった。【近未来背景のにんぎょ姫が、海に沈んだ東京のビルの上に座っている姿】が描かれたそのスケッチブックから、「にんぎょ姫」の物語から着想を経て作られていった。

 そして、脚本を手がけた虚淵玄の手によって、〈少女が恋をした末に泡になる〉という「にんぎょ姫」の物語から、〈ある少年に泡が恋して少女になる〉というプロットを作り上げ物語を紡いでいった。

 現代の「にんぎょ姫」として本作で描かれたのは言葉の知らない謎の少女・ウタ。泡から生まれ、ヒビキという王子さまのもとに突如として現れたウタは、ヒビキたちと同じ時を過ごすうちに言葉や感情を覚え、目の前に広がる壮大な世界を愛していく。

 そんなウタの存在を虚淵と共に共同脚本として名を連ねる佐藤直子は「この物語はパルクールの爽快なアクションと、ウタというヒロインが見るこの世界が、いかに美しく尊いものなのかを感じてほしい」と語っている。

 劇中で、たびたび差し込まれる〈ウタ目線〉もしくは〈ウタの記憶〉のカットには、専用のレンズ前フィルターが用いて、より世界が美しく映える演出を加えているが、これは佐藤による発明だったと荒木哲郎監督は語っている。

 「佐藤直子さんがあるシーンで『ウタの見る光景は光に満ちていて、ウタはこんなにも世界を美しく見ていたのかとわかる』と書いてくれていて。それを演出方針として採用しました。具体的には〈ウタ目線〉もしくは〈ウタの記憶〉のカットには、専用のレンズ前フィルターを用いています。基本的には〈シャボンの油膜越し〉という説明ですが、四隅に微かなボケと色味を足していて、全体に明るさを上げる処理をしています」(荒木監督)。

 ”色”にもとことんこだわっており、美しくかわいらしい”明るくカラフルな映像を作る”という荒木監督の挑戦により、劇中では空や海はもちろんのこと、木々や花々といった自然が色鮮やかに描かれており、普通のアニメーションの約3倍の労力がかけたそう。さらに、カラースクリプターという”色の専門家”を招き、美しい世界を作り上げるためのコーディネートをしてもらうなど、本作はこれまでにない試みが多数実行された。

 佐藤は「失ってしまった青春の一瞬のきらめきを表現したかった」と、この世界に生まれて恋をするウタの青春を描きたかったと語っており、一瞬一瞬の愛おしさやこの世界に生きることの豊かさを教えてくれる存在として描いている。

■童話「にんぎょ姫」リレー朗読特別映像

 本作と大きな関わりを持つ童話「にんぎょ姫」の物語を、声優の宮野真守・梶裕貴・畠中祐・千本木彩花らが読みつなぐリレー朗読特別映像も公開中。「にんぎょ姫」は、一般的に悲恋の物語の印象が強いが、『バブル』では、「にんぎょ姫の魂の在り方や、センス・オブ・ワンダーな要素をヒロインのウタに重ね描いています。異種族のにんぎょ姫の決断は、人間である私たちに愛の本質を教えてくれます。承認も見返りも求めず想いを全うする純潔さ――そこがこの物語が普遍的に愛される魅力だと思います」(佐藤)と、「にんぎょ姫」で描かれる“愛の本質”をテーマに本作のストーリーを紡いでいったと明かしている。