俳優でモデルの嵐莉菜(17)、俳優の奥平大兼(18)、川和田恵真監督(30)が7日、都内で映画『マイスモールランド』で公開記念舞台あいさつに参加した。

【写真】真っ赤なドレスで舞台あいさつに登壇した嵐莉菜

 本作は、在日クルド人の少女が、在留資格を失ったことをきっかけに“自分の居場所”に葛藤し、成長してく姿を描く。5ヶ国のマルチルーツを持つ嵐が、埼玉に住む在日クルド人の高校生・サーリャを演じ、東京に住む少年・聡太役を奥平が務めた。この日は、サーリャの家族を演じ、嵐の本当の家族でもあるアラシ・カーフィザデー(49)、リリ・カーフィザデー(14)、リオン・カーフィザデー(8)も登壇し、家族が勢ぞろいする中での舞台あいさつとなった。

 自身も5ヶ国のルーツを持ち、『ViVi』専属モデルとして活躍中の現役高校生ながら、映画初出演で初主演した嵐。嵐と同じくオーディションで選ばれ、劇中でサーリャの家族を演じたのが実際の嵐の家族であることに触れられ「信じられない光景というか、私の家族にとって貴重な経験だと思ってます」と感謝。川和田監督も、アムネスティ国際映画賞・特別表彰に輝いたベルリン国際映画祭に参加した際、「(キャストクレジットの)名前を見て『本当に家族なのか?』という質問や、『この家族は今も暮らせているのか?』など、映画の出来事が現実の物語だと勘違いしているような質問もいただいた」と振り返った。

 奥平は、嵐の実際の家族が出演するということを事前に聞いてはいたが「監督から『撮影現場で初めて会ってほしい』と言われて。実際の撮影で会うまで一回も会わかったんです」という。しかし、事前に嵐から「弟のリオン君が『すごくかわいい』っていうのをたくさん聞かされていました。『どんなにかわいい子がいるんだ?』と現場行ったら、こんなかわいい子がいて、これは確かにかわいいと思いました」とし、嵐からも「すごく弟のアピールをしていましたね(笑)」と和気あいあいだった撮影現場の様子を懐かしんでいた。

 18歳で新成人を迎えることになった2人がその気持ちを語る場面も。嵐は「成人といえば20歳だと思っていたので、まだしっくりは来ないんですが、責任感を持って生活しようと思います」と頼もしい発言。奥平は「成人してるんだ、という実感があまりないんですけども」と前置きながらも「つい最近の撮影で日をまたいで撮影する機会がありまして。これまでは年齢の為に時間制限があり、できなかった撮影なのですが、今年高校も卒業して、初めて日をまたいで撮影して『眠かったな…』というのをすごく覚えていて(笑)。大人の人はみんなこれやってるんだなーと思うとすごいなと。僕も頑張ろうと思います」と宣言し、笑いを誘っていた。

 そして、監督やキャストへのサプライズとして、同じ「分福」チームの一員で、川和田監督の先輩でもある是枝裕和監督からのサプライズの手紙が。「この映画の企画書を読ませてもらってから、何年経ったのか、もう忘れてしまいましたが、どうしても映画にしたい、しなければならないというあなたの切実さをひしひしと感じたことははっきりと覚えています。あの日、この作品が間違いなくあなたのデビュー作にふさわしいと確信しました」「この映画が難民問題を扱いながら、青春映画としても成立していることを僕はとても素晴らしいと思っていますが、それはあなたの〈海図なき航海〉という、まさに青春そのもののような映画作りという旅に同行してくれた2人がいてくれたからこそだと思います」「仲間たちと、今日は作品のお披露目を心から喜んでください。祝ってあげてください。明日からは、あなたにとって、このデビュー作が最大のライバルになります。強敵ですよ。また、長い旅が始まります。頑張ってください」という温かいメッセージが寄せられた。

 是枝監督の言葉に川和田監督が思わず涙ぐむシーンも。「是枝さんの背中を追ってきたので、こういった言葉をもらえると励まされます。やってきてよかったなと。ここで止まらず、この作品を届けていくことが私にとってやらなければならないことだと改めて思います」「この2人(嵐、奥平)、そしてその家族の皆さんがいければこの映画は作れなかったと思うので、出会えたことに感謝してますし、この2人のことはずっと心から離れないですし、ずっと見ています」と感謝。「少しずつ“知る”という事を重ねることで無関心が関心に変わっていくことで社会が変わっていく、と信じてこの映画を作りました。この映画がその第一歩になれればと心から願っております」と、いう監督の願いとともに舞台あいさつは終了した。