ブラジルで2020年に製作された映画『VALENTINA』が、『私はヴァレンティナ』の邦題で4月1日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサほか全国で順次公開される。本作は、ブラジルの現在を生きる17歳のトランスジェンダーを描いた劇映画。主人公ヴァレンティナ役は自身もトランスジェンダーであり、YouTuber・インスタグラマーとしても活躍中のティエッサ・ウィンバックが演じている。

【画像】映画『私はヴァレンティナ』場面写真

 LGBTQの権利保障に前向きに動き、同性婚も認められているブラジル。その一方、トランスジェンダーの中途退学率は82%、そして平均寿命は35歳と言われている。本作は、トランスジェンダーの少女が、あるがままでいることの難しさと、力強さを描いた意欲作。

 ブラジルの小さな街に引っ越してきた17歳のヴァレンティナ。彼女は出生届の名であるラウルではなく、通称名で学校に通う手続きのため蒸発した父を探している。新しい友人や新生活にも慣れてきたが、自身がトランスジェンダーであることを伏せて暮らしていた。そんな中、参加した年越しパーティーで見知らぬ男性に襲われる事件が起きる。それをきっかけにSNSでのネットいじめや、匿名の脅迫、暴力沙汰などさまざまな危険が襲い掛かるのだった…。

 監督はショートショートフィルムフェスティバル&アジア 2009 でオーディエンス・アワードを受賞した『秘密の学校』 (08年)のカッシオ・ペレイラ・ドス・サントス。「本作の制作では、多くのトランスジェンダーの方にインタビューを行いました。映画製作の全過程でトランスジェンダーの方に参加してもらうことが重要でした。もしこの映画の物語が軽い内容になってしまうとブラジルでの過酷な現実に対してフェアでないと感じた」と、説明。

 さらに、「悲しいエンディングやネガティブな思いを起こす映画もたくさんありますが、もし自分が10代のトランスジェンダーだとしたらそういった映画を観るのはつらいと思いました。苦しい状況の中でも若いトランスジェンダーたちにとってポジティブで希望のある物語を贈りたい」と、作品に込めた思いを語っている。