女優の岸井ゆきのと俳優の高橋一生がW主演を務めるNHK総合のよるドラ『恋せぬふたり』(10日スタート 後10:45~ 全8回)。俳優の濱正悟(27)が、カズくんこと松岡一役で出演する。ORICON NEWSは、濱にインタビューを実施。アロマンティック・アセクシュアルが題材となるドラマへの思い、役者としての心境の変化などを聞いた。

【写真】“個性”をなくしどんな役柄もこなす濱正悟

■アロマンティック・アセクシュアル題材のドラマ「少しでも関心を」

 人を好きになったことがない、なぜキスをするのかわからない、恋愛もセックスも分からずとまどってきた兒玉咲子(岸井)。恋愛もセックスもしたくない高橋羽(高橋)、ネットで「アロマンティック・アセクシュアル」という言葉と出会い、物語が動き出す。カズくんは、スーパーまるまる本社のマーケティング課に勤務。咲子の同僚で仲も良く、何かと咲子に絡む役どころとなる。

――どんな役になっていますか?
 岸井ゆきのさん演じる咲子、高橋一生さん演じる高橋さんが主役です。アロマンティック・アセクシュアルという他者に恋愛感情を抱かず、性的にもひかれない2人が、どうやって彼らなりの家族を築いていくのか、というドラマ。そこに僕はカズくん、という役で咲子の同僚役で出演させていただきます。割と明るくてアゲアゲ、前のめりでガツガツ行く、好奇心旺盛な男です。咲子に、いろいろ絡んでいってしまうんです。「新しい彼氏できた?」とか(笑)。咲子と高橋さんは受け身なので、僕は能動的に、気持ち的にも動いているという役柄です。

――難しい題材を扱います
 アロマンティック・アセクシュアルという言葉をご存じない方もいらっしゃると思います。ぜひご覧いただき、1人でも多くの方に知っていただけるきっかけになればうれしいです。

――アロマンティック・アセクシュアルは、どんな方でしょうか?
 僕は直接、お話を聞いたりしたことはありませんでしたが、主演のお2人は直接お話を伺いながら役づくりされていました。現場にも当事者を含む考証の方が来てくださっていたので、段取りやリハの時に「この場合は、どうですか?」「このアプローチは、どうですか?」と相談されているのを見ていました。接触が苦手で、人と距離をとらないと嫌とか。距離は取らなくてもいいけど、性的なことがわからないとか、「アロマンティック・アセクシュアル」と一言でまとめることは出来ずいろいろなタイプの方がいらっしゃいます。

――主演の2人の印象は?
 どう作品に向かっているのか、どう現場で役に向き合っているのが、すごく見えました。スタッフさんも含め、すごくストイックで情熱的に向き合っているからこそ、アロマンティック・アセクシュアルの考証の方も、いろいろ教えてくださるんだなと思いました。よりよいものを作るための時間が多く、刺激的でした。

――自身が演じたカズ君という役は
 咲子を通して、アロマンティック・アセクシュアルを知っていく、ドラマの中でも多くの視聴者と同じ目線。なので、特別な役作りはしていないです。テンションの部分で明るいキャラ、誰とでも明るく楽しく接しようとする。テンションをぐいっと上げるという作業はありましたね。

――物語を動かす役回りです
 クランクインして、リハでも監督から「咲子は受け身なので、カズ君は能動的に動く」と言われました。主演の2人が“動かない”ので、対して僕は“動”でいることへの意識ができました。今後にもつながるし、やっていても楽しかったです。

――距離感を無視するような役ですよね
 気持ち的に無視しようとして無視しているのではなく、当初のカズは人の気持ちに気づけない部分もあるのかなと思っています。アロマンティック・アセクシュアルを知って、1番変化するキャラクターだと思います。

――オーディションで勝ち取った役で、重要なポジションでの出演となります
 最初はミーハーなところから始まったんですけど、この仕事が好きで、どんどんやりがいを感じています。この作品は、僕が今までやってきたドラマの中でも出番が1番多い作品になるんじゃないかなと思います。出番が多い分、作品や役と向き合う時間も多いですし、現場にいる時間も長いので、濃厚です。そういった意味では、すごくうれしいですし、楽しいです。

■変幻自在な役柄の裏に芽生えたもの「変なこだわりが排除された」

――これまで演じてきたのは、DVする彼氏や怪盗まで役柄の振り幅が広いですよね
 楽しんでやっています。『ルパパト』(『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』)が終わって、1番最初に演じたのが『酔うと化け物になる父がつらい』という映画でDVする彼氏役。そこから悪い役が立て続けに来た。いろいろな役柄を演じるのは、やりがいがあります。

――自身の俳優としての強みはありますか?
 難しいですね…。自分は「この役がやりたい」とか、「この役はやりたくない」とかがないんです。私生活でも、絶対にやらないといけないルーティーンとか、こだわりがない。割と何にでも、なじむことができる。悪い方向に捕らえられたら“個性がない”と言われたりもしますが、実はそれがいいことなんじゃないかなと思ってきました。拒まない体質なので。

――そんな中で、やってみたい役はありますか?
 激しいアクションですね。今までクールで静かな役が多かった。犯罪者の役でも、発狂しているような役柄ではなかったので。『恋せぬふたり』のカズくんが動な役でやってみて、より動な役をやってみたいと思いました。『TOKYO MER』で、SIT隊員をやった際も警察の方に実際に教えてもらったのですが、イントロダクションぐらいでした。その先もやってみたいと思っていたので。

――俳優という仕事を始めたきっかけは?
 もともとテレビっ子で、ドラマが好きです。ちょっとした憧れですね。

――濱さんが注目を集めたのは『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のルパンブルー/宵町透真役かと思います。
 イベントも含めると、すごく長かったので、キャラがブレないようにするのが大変でした。戦隊モノって、なんでもアリになってしまいがち。自分の中の裏テーマで、わがままを言ってでも芯を貫きたかった。脚本家の香村純子さん、監督の杉原輝昭さんをはじめ、スタッフの皆さんも熱く自分たちに接してくれた。作品のことで話すことも多かったですし、ストイックにやれたのかなと思います。それまでエキストラしかやったことがなかったので、役を深めるも何もなかった。そこから比べると面白かったです。実りはありました。

――俳優としての目標はありますか?
 いろいろあったんですけど…。わかりやすく言うと「朝ドラ出る」とか「大河に出る」とか。それがなくなってきたんです。何かを、ではなく、やり続けることで、きっとめぐり合うという考え方に変わってきました。だから、続けていく上で、運命って近づいてくるんじゃないかなって。だから今は「続けていくこと」が1番、大事にしていることです。追えば追うほど離れていくものってあるじゃないですか。この仕事って、すごく縁が大事。ご縁を引き寄せるためには今の仕事を頑張ってやり続けることだなって思っています。いろんな作品をやっているからこそ、いろんな人との出会いがあって、いろんなお話を聞く。そういう中で、ちょっとずつ価値観が変わっていきました。「自分は、こうじゃなきゃいけない」みたいな、変なこだわりが排除されて、より自由に生きていこうという感じです。結構、ポジティブですね。

――最後に『恋せぬふたり』の見どころを
 今まで、やってきたドラマとは少しずつ変わっているものだと思います。いろんな価値観、多様性が許容される時代だと思いますけど、より寛容になって、このドラマを見てくださった方が、周りの人に今よりもっと優しくなれるドラマになればうれしいです。族のことも思い出すきっかけになったりします。そこにカズくんが、どう絡んでいくのかも見ていただきたいです。