“アカデミー賞の前哨戦”として知られる「第79回ゴールデングローブ賞」の受賞者が現地時間9日(日本時間10日)に発表され、濱口竜介監督、西島秀俊主演で、村上春樹の小説を映画化した『ドライブ・マイ・カー』が、非英語映画賞(旧・外国語映画賞)を受賞した。日本映画としてゴールデングローブ賞を受賞するのは、第17回(1960年)の『鍵』(市川崑監督)以来、62年ぶりの快挙となった。

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 ゴールデングローブ賞では過去に、第12回(55年)『二十四の瞳』(木下恵介監督)、第13回(56年)『子供の眼』(川頭義郎監督)、第14回(57年)『太陽とバラ』(木下恵介監督)が受賞している。

 なお、今年のゴールデングローブ賞は、主催団体のハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)が6日に「受賞者はウェブサイトとSNSでリアルタイムに発表する」と急きょ変更し、レッドカーペットなし、無観客、授賞式のテレビ中継およびライブ配信も行われない異例の事態となった。

 『ドライブ・マイ・カー』は、「第74回カンヌ国際映画祭」にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞したのち、各国の映画賞を席巻中。米国でも現地時間8日(日本時間9日)に発表された「第56回全米批評家協会賞」で、作品賞(1985年、黒澤明監督『乱』以来)、監督賞(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』の2作品に対して)、脚本賞、主演男優賞(西島※アジア初の快挙)の主要4部門を受賞した。「第94回米国アカデミー賞」国際長編映画賞部門ショートリスト(ノミネーションの最終候補)に選ばれている。

 映画は、村上春樹による同名短編小説を原作に、チェーホフの戯曲「ワーニャ伯父さん」、サミュエル・ベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」という時代を超えて愛されてきた演劇要素を大胆に取り入れ、映像表現技術に頼ることなく映画の可能性を広げた作品として評価を得ている。

 俳優であり演出家の主人公・家福(西島)は、愛する妻(霧島れいか)と満ち足りた日々を送っていた。しかし、妻は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。2年後、広島で開催される演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦透子)と出会う。行き場のない喪失を抱えて生きる家福は、みさきと過ごすなかであることに気づかされていく――といったストーリーと、家福が演出する舞台作品として、映画内演劇が重層的に呼応しあう仕掛けも特徴的。それが国籍の異なる俳優たちによる多言語演劇である点も、ダイバーシティ(多様性)を重視しているハリウッドで注目を集める要因の一つになっていると考えられる。

※「第17回(1960年)の『鍵』(市川崑監督)以来」の部分について、記事初出時に誤った情報を記載しておりました。ここにお詫び申し上げます。