西島秀俊主演、村上春樹の短編を映画化した濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』(公開中)が、「第56回全米批評家協会賞」にて、作品賞、監督賞(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』の2作品に対して)、脚本賞、主演男優賞(西島)の主要4部門を受賞した。現地時間8日(日本時間9日)に発表された。米最大の批評家協会である全米批評家協会賞にて、主演男優賞を日本人の西島が受賞したのはアジア初の快挙だ。作品賞も、日本映画では黒澤明監督の『乱』(1985年)以来となる(台湾・日本合作映画では、2000年に『ヤンヤン夏の想い出』が受賞)。

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 ちなみに、全米批評家協会賞の過去2年の作品賞受賞作には、アカデミー賞作品賞を受賞した、『ノマドランド』、『パラサイト 半地下の家族』と、どちらも同じ年のアカデミー賞で作品賞に輝いている。「第94回米国アカデミー賞」国際長編映画賞部門ショートリストにも選ばれている。

 同作は、これまでに「第74回カンヌ国際映画祭」にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞したのち、賞レースで快進撃を見せている。注目度の高いニューヨーク映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞でも作品賞を受賞しており、過去全米、ニューヨーク、ロサンゼルスの3つの批評家協会賞で作品賞を受賞した作品は、『グッドフェローズ』(90年)、『シンドラーのリスト』(94年)、『LAコンフィデンシャル』(98年)、『ハート・ロッカー』(2010年)、『ソーシャルネットワーク』(11年)など、これまたアカデミー賞受賞・ノミネート作品が並んでいる。

 このほか、ボストン映画批評家協会賞にて西島の最優秀男優賞を含む4冠の獲得など、世界中ですでに35以上の賞を受賞しており、現地時間で9日(日本時間10日)に発表になる「第79回ゴールデングローブ賞」(外国語映画賞にノミネート)にも期待がかかる(受賞すれば62年ぶりの快挙となる)。

 映画は、村上春樹による同名短編小説を原作に、チェーホフの戯曲「ワーニャ伯父さん」、サミュエル・ベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」という時代を超えて愛されてきた演劇要素を大胆に取り入れ、映像表現技術に頼ることなく映画の可能性を広げた作品として評価を得ている。

 俳優であり演出家の主人公・家福(西島)は、愛する妻(霧島れいか)と満ち足りた日々を送っていた。しかし、妻は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。2年後、広島で開催される演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦透子)と出会う。行き場のない喪失を抱えて生きる家福は、みさきと過ごすなかであることに気づかされていく――といったストーリーと、家福が演出する舞台作品として、映画内演劇が重層的に呼応しあう仕掛けも特徴的。それが国籍の異なる俳優たちによる多言語演劇である点も、ダイバーシティ(多様性)を重視しているハリウッドで注目を集める要因の一つになっていると考えられる。