1967年10月の番組スタートからこの秋で放送開始55年目を迎えた、深夜ラジオ番組の金字塔『オールナイトニッポン(ANN)』(ニッポン放送)。これまで500人以上のパーソナリティーを輩出してきた『ANN』が、ここ最近特に注目を集めている。今月に限っても、6日放送のNHKのドキュメンタリー『のぞき見ドキュメント100カメ』での密着を皮切りに、15日深夜放送で月曜担当・菅田将暉が小松菜奈との結婚発表、17日深夜放送で水曜担当の乃木坂46・新内眞衣の卒業発表と、パーソナリティーの人生における大きな節目となる発表が相次いだ。出演者・スタッフ・リスナーが強固な関係を築いている『ANN』の魅力を、改めてひも解いていきたい。

【写真】卒業発表の新内眞衣『佐久間宣行ANN0』にサプライズ出演

 「君が踊り僕が歌うとき、新しい時代の夜が生まれる。太陽のかわりに音楽を、青空のかわりに夢を。フレッシュな夜をリードするオールナイトニッポン!」という糸居五郎の第一声で、1967年10月2日の深夜1時に『ANN』は幕開けした。現在は、午後10時からの『オールナイトニッポン MUSIC10』、深夜0時からの『ANN X(クロス)』、深夜1時からの『ANN』、深夜3時からの『ANN0』、土曜の午後11時半からの『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』に加えて、先月4日からは新しいブランド『ANN PODCAST』が立ち上がり、多くのブランドが存在する。

 今年5月、『ANN』火曜担当の星野源が、新垣結衣との結婚を発表し、世間は騒然となった。結婚発表後初の『ANN』では、注目を集めている結婚についてのトークも行いながら「基本的にいつもと変わらない」との言葉通り、いつも聞いているリスナーとの関係も大事にした、通常運転で進行。終盤には“寺ちゃん”の愛称で親しまれているパートナーの構成作家・寺坂直毅氏による“前口上”も。涙声になりながらも、星野の結婚にあたっての思いを打ち明ける、感動的な前口上となった。少し長くなるが、前口上を引用したい。

■寺ちゃんが語った、星野源へのストレートな思い リスナーからも感動の声が続々

 「星野源さん、本当によかった。星野源のオールナイトニッポンが産声をあげ、5年と2ヶ月あまり…、ちょっとまってください。オープニングの『ビタースウィート・サンバ』とともに、いつかこういううれしいお話をされる日がくると思ってはいましたが、まさかそれがきょうになるとは…すみません。喜ばしい知らせに、当初は驚きつつも、じわじわとうれしさが沸き立ち、感動し、自然と涙を流しておりました。私だけではありません、ディレクター野上くん、サブ作家の宮森くん、AD落合くん、ミキサー大沢さん、(元ディレクターの石井)玄ちゃん、そしてなによりもリスナーのみなさん。みんなが喜び、感動いたしました。

 思えば、星野さんはいつも撮影や曲作りで、ヘトヘトに疲れても、リスナーのメールに励まされ、2時間後は元気を出して、有楽町を笑顔で去っていかれました。しかし、時にはそのレベルをこえ、正直に言いますと、つらそうだなと思った時期もありました。エッセイ『いのちの車窓から』でも記された、心が苦しくなって、夜の晴海ふ頭をひとりで眺められたお話は、なんとか星野さんを助けてあげたいものだ、私たちもリスナーのみなさんもそう思ったと思います。

 しかし、これからの人生は違いますね。ひとりではなく、2人になるのです。その苦しみは半分に、喜びは2倍になるのではないでしょうか。どんなこともパートナーと2人で考え乗り越えていかれるのだ。私たちはそのことが何よりもうれしいと思っております。さぁ、みなさんもきっとひとりではなく、だれか分かち合う存在がいます。今夜はその人を思い浮かべながらお聞きください。星野源さんで『不思議』」。

 出演者とスタッフという関係をこえた、結びつきの強さを感じる前口上に、リスナーからも感動の声が相次いで寄せられた。こうした『ANN』の空気感の良さは、2ヶ月に1度、聴取率調査週間にあわせて、特別企画やゲスト出演などの演出が行われる通称「スペシャルウィーク」にもよく現れている。各ブランドのパーソナリティー同士の交流もしばしば行われており、9月の『星野源ANN』に『オードリーANN』のパーソナリティーを務める若林正恭がゲスト出演を果たした際には、ディープなトークから、星野が歌う「Pop Virus」に、若林がMC.wakaとして生ラップを披露する豪華コラボへと発展し、大きな反響が寄せられた。

■ラジオだからこそ感じられる人気スターたちの素顔 まさに人生の交差点

 コロナ禍で延期になっていた“リアルイベント”も少しずつ行われ始め、10月末には『ANN』パーソナリティー記録を更新しているナインティナインによる『ナインティナインのオールナイトニッポン歌謡祭』が、横浜アリーナにて開催された。かねてから「結婚したらみんなで『ワッショイワッショイ』と神輿を担いでほしい」と口にしていた岡村隆史の願いをかなえるため、大きなうちわを持った矢部浩之を先頭に、番組スタッフと鍛冶マネージャーらが神輿に岡村を乗せて登場するなど、パーソナリティーの人生をともに歩んでいることを改めて感じさせる演出が見られた。それは、今月12日に東京国際フォーラム・ホールAで行われた『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)リスナー大感謝祭2021~freedom fanfare~』でも同様で、テレビプロデューサー・佐久間宣行氏のトーク・企画に笑いと感動が押し寄せた。

 そんな中、飛び込んできた菅田の結婚発表。自身が担当する『ANN』放送直前というタイミングということもあり、いつも以上に放送に注目が集まったが、冒頭から自身の言葉で思いを伝えていった菅田は、途中で感極まりながらも「私事ですが、お騒がせしまして、ちゃんとこうやって、こんなタイミングでラジオをやっているっていうこともすごいことだなと思っています」と決意をにじませた。しんみりとしたムードになると、一転して“いつも通り”の『ANN』へと様変わりしていく様子は、星野が「菅田くんのハイブリッドを見た」と称していたが、まさにラジオでしか感じられない菅田の姿がそこにはあった。

 それから2日後の『乃木坂ANN』では、新内による卒業発表が。16年から『ANN0(ZERO)』(深3:00)の水曜パーソナリティーを担当し、19年4月からは『乃木坂46ANN』(毎週水曜 深1:00)のメインパーソナリティーを務めているが、同番組で卒業発表の第一声を伝える形となった。「『ANN0』で、3年やらせてもらったのはありがたいことでしたし、何より始まったときはこんなにステキな終わりを想像してなかったです。1部に上がるとは思ってなかったので、夢物語だったんですけど、こうやって『ANN』で発表できて、すごく幸せでしたね」と感謝する新内の『ANN』愛あふれる言葉の数々に、多くのリスナーが胸を打たれた。

 来年4月より『ANN55周年記念』と銘打ち、さまざまな特別番組やイベント、コラボレーション企画などを発信していくことが発表されているが、これからもパーソナリティー・スタッフ・リスナーの人生が交差して「新しい時代の夜が生まれて」いくことだろう。