1964年の東京オリンピックで金メダルに輝いた女子バレーボール・チームを追ったドキュメンタリー映画『東洋の魔女』の公開に先立ち、13日に横浜市内で行われた「フランス映画祭2021横浜」で日本初上映された。上映後、金メダリストであり、“東洋の魔女”の元メンバー、千葉勝美(旧姓:松村)さん(77)、田村洋子(旧姓:篠崎)さん(76)、中島百合子(旧姓:半田)さん(81)、神田好子(旧姓:松村)さん(79)の4人が登壇。同作についての思いを語った。

【動画】映画『東洋の魔女』予告縁と監督のビデオメッセージ(23分あります)

 同映画は、1960年代に世界から“魔女”と恐れられ、1964年の東京オリンピックで金メダルに輝いた女子バレーボール・チーム“東洋の魔女”の秘密と、彼女たちのその後を追ったドキュメンタリー。上映終了後、来日することができなかった、ジュリアン・ファロ監督のビデオメッセージがスクリーンに投影された。

 監督は10年ほど前に、東洋の魔女たちの練習風景の映像を初めて見た時、当時の彼女たちの過酷な訓練について「常識を超えている」と、衝撃を受けたことを明かした。また、「フランスではアニメ『アタックNo.1』の原型にもなったチームについて、ほとんど知られていませんでした」と述べ、リアルな“東洋の魔女”から受けた衝撃と、フランスでもポピュラーなアニメとして知られる『アタックNo.1』がつながって、「私の神経路が反応した」と表現しつつ、本作を作るきっかけになったと伝えた。

 “東洋の魔女”メンバーに対し、「TV局の取材にも対応され、ジャーナリストの質問に慣れていましたね。しかし、表面的なことではなく、より真相に迫ることを長いこと話してくれました。また、彼女たちへの興味関心を伝えたところ、それは少し新鮮で慣れていないことだったようです」と、選手として質問を受けていたこれまでの取材と、今回フランスから来た監督が彼女たちに問いかけた質問の違いに対する彼女たちの反応についても語った。

 「彼女たちはすぐに理解してくれて、出演することを受け入れてくれました。当時の選手としての努力が認められたらと思います。そして、この映画が東洋の魔女の選手の方々にも気に入ってもらえたらうれしいです」と月日を越え、魔女たちの努力と今回撮影を快諾してくれた彼女たちに対して感謝を述べた。

 監督のビデオメッセージが終わると“東洋の魔女”の元メンバー4人が登壇。この日が日本初公開ということで彼女たちも、初めて完成した作品を鑑賞した。神田さんは感動のあまり涙ながらに「あれから57年後の今日、すごく幸せに思います。フランスの監督さんが、私たちのために記録映画を作ってくれて、本当に感動いたしました」と感想を述べた。

 千葉さんは「こんな舞台に立つのは女優さんだけかなと思っていたので驚きです。みんなとは撮影のときぶりに会いました。魔女が4人しかいないのは少し寂しいですが。感動をありがとうございました」と答えた。

 東京オリンピック当時はベンチでサポートに回っていたという田村さんは「チームの中で一番年下だったので、いつも最後に話すことになるのですが…」と観客の笑いを誘いつつ、この映画について「フランス映画ということで、自分が思っていたものとは、だいぶ違った映画でした。世界のことや日本の歴史が組み込まれていたので、感動するのと同時にとても勉強になりました」と語った。

 また、中島さんは「大松先生(当時の監督・大松博文)、河西(昌枝)キャプテンたちがこの映画を観られたらどのように思うのだろう」と感慨深げに語った。

 その後、司会から「それぞれ映画で印象に残ったシーンは?」と聞かれ、千葉さんは「雨の日にカッパを着て、ジムに行って、トレーニングしてというシーンを、3、4日間かけて撮ったこと」と語った。一方、神田さんは「あの時代が一番楽しかった。バレーのことだけを考えていた。動いている大松先生やみんなに会えたことがうれしかった」と涙ながらに語り、舞台あいさつを締めくくった。