今年の「第74回カンヌ国際映画祭」でオープニングを飾り、監督賞を受賞したフランスの映画監督レオス・カラックスの最新作『ANETTE』が『アネット』の邦題で2022年春に日本公開される。

【写真】約2年ぶりにリアル開催された第74回カンヌ国際映画祭

 『ホーリー・モーターズ』(2012年)以来となるカラックスの新作は、製作プロデューサーも務めたアダム・ドライバーと実力派マリオン・コティヤールを主演に迎え、自身初めて全編英語でミュージカルに挑んだロック・オペラ・ミュージカル映画。人気スタンダップコメディアンのヘンリー(アダム・ドライバー)と、一流オペラ歌手のアン(マリオン・コティヤール)、そして2人のあいだに生まれたアネットによって、ダークなおとぎ話が繰り広げられる。

 原案は日本でも根強い人気を誇るロン&ラッセル・メイル兄弟によるポップ・バンド、スパークス。彼らがストーリー仕立てのスタジオアルバム「アネット」として構築していた物語が、スパークスとカラックスの出会いによって映画へと発展、劇中全編を歌で語り、全ての歌をライブ録音するという両者のこだわりと、そこにカラックスならではの映像美が相まって、唯一無二の作品が完成した。また、カラックスが「父親になってからの映画」とその特別な想いを語る本作には、カラックス自身の人生が色濃く反映されていることも見どころの一つとなっている。

 アダム・ドライバーが、本作で初めて役者以外に、長編映画のプロデューサーも務めたことも注目を集めている。彼はその理由について「レオスの映画だから。スパークスが作曲したミュージカルだから」「リハーサルや大規模なセットを必要とするような大がかりなシーン、それに多くの未確定要素があったから。全部がチャレンジに思えたけど、唯一無二のものになるだろうと思ったんだ」とその並々ならぬ意気込みを語っている。

 1984年、弱冠24歳でカンヌ映画祭に登場した『ボーイ・ミーツ・ガール』、“アンファン・テリブル”(恐るべき子ども)と、カラックスの名を世界中に知らしめた『汚れた血』(86年)、2度の撮影中断に見舞われながらもロングラン大ヒットを記録した『ポンヌフの恋人』(91年)、ハーマン・メルヴィルの小説を原作に映画化を挑んだ『ポーラX』(99年)、そして謎に満ちた迷宮的な内容が高く評価された『ホーリー・モーターズ』。35年間で発表した長編作品は6本と寡作ながら、一作一作で、既存のジャンルを軽々と超え、その卓越した演出力と圧倒的な美的センスによって新たな映画体験を生み出し、常に衝撃を与えつづけてきたレオス・カラックス監督の新たな挑戦を見届けよう。

(C) 2020 CG Cinema International / Theo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinema / UGC Images / DETAiLFILM / Eurospace / Scope Pictures / Wrong men / Rtbf (Televisions belge) / Piano