先日、首都高で走行中の車に入り込んでいた猫を救出、というニュースが話題になった。こういった車と猫の事故は数多く、とくにこれから、気温が下がる季節には注意が必要だ。さまざまな通報が寄せられるNPO法人『ねこけん』にも、そういった相談は数多いという。代表理事・溝上奈緒子氏に、レスキュー時のこと、猫を危険から守るための注意点を聞いた。

【写真】「猫が液体である証明⁉」こんなところに…ダッシュボードにはまり込んだ子猫

■車のわずかな隙間から入り込んだ子猫、汗だくの救出劇

 事件は、一般ボランティアの通報から始まった。

 「車のダッシュボードに子猫が入ってしまい、出てこなくて。なんとか助けていただけませんか?」。『ねこけん』への緊急の依頼に、溝上氏はボランティアメンバーと2人で現地へと向かったそうだ。

 当時、季節は秋といえども車内は蒸し暑く、エアコンなしで長時間過ごすことは、猫にとっても危険。すぐにでも救出が必要と思われた。現地へ赴くと、すでに子猫が入り込んだダッシュボードの蓋は取り外されており、依頼者が何とかして助け出そうと試みていたことがわかる。子猫は車のわずかな隙間から入り込み、ダッシュボードに入ってしまったとみられた。

 ダッシュボードにすっぽりと入り込んだ子猫は出てくる様子もなく、「汗だくの人間2人、とても苦戦しました」とのこと。手を差し出すと、「シャー」と威嚇。なだめたり、猫が大好きな「ちゅ~る」をあげて懐柔しようとするが、やはり出ようとはしない。エンジンをかけるとダッシュボード付近は温度が上がり、さらに余計な衝撃を与えるとエアバックが作動してしまう。最後は助手席の下に入り込み、腕を伸ばして子猫を押し出し、もう1人が運転席側から慎重にネットを被せて、救出は無事に成功した。救出に尽力したメンバーは、「どうやったらあんなところに入れるのか…。本当に猫は液体なんだなと思いました」と、当時を振り返った。

 冒頭でも触れたとおり、こうした猫と車の事故は数多い。首都高で走行中に猫の鳴き声を聞いた運転手が、エンジンルームの中から3匹の子猫を救出したというニュースも記憶に新しい。

 「車のエンジンルームは密閉されているように感じますが、下から簡単に入り込むことができるんです。特に冬場になると、エンジンルームは猫ちゃんたちにとって心地よい条件がそろっているので、より注意が必要です」。

 狭く、温かく、雨風もしのげるとあって、地域猫たちにとって車のエンジンルームは格好の避難場所。暖を取るだけでなく、外敵から身を守るための空間ともなるだろう。『ねこけん』でも、今回に限らず、車内に閉じ込められた猫を救出した事例はいくつもあるそうだ。

 「以前も、同じくダッシュボードに入りこんだ猫を救出したことがあって。そのときはたまたま獣医師が同行していたので、注射で軽く鎮静をかけてもらい、眠ったところで猫を引っ張り出して救出しました」。

 このような事故を防ぎ、猫の侵入を予防するためにはどうしたらいいのだろうか?

 「日産自動車でも推奨しているように、“猫バンバン”はとても有効な方法です。“猫バンバン”とは、侵入しているかもしれない猫を追い出すため、エンジンをかける前にボンネットを軽くバンバンと叩くこと。ただし、強く叩き過ぎると猫が怯えて出てこなくなってしまうので、あくまで軽く叩くことが重要です」。

 これから寒くなる季節。ドライバーたちにはぜひ“猫バンバン”を心がけ、自身と猫の安全を図ってほしいものだ。

(文:今 泉)