『グラディエーター』(2000年)でアカデミー賞作品賞を受賞したリドリー・スコット監督が、新作『最後の決闘裁判』(10月15日公開)について語る特別映像が解禁となった。「静」と「動」を操る名匠が、観客を映画の虜にする極意を語っている。

【動画】映画『最後の決闘裁判』メイキング映像

 同映画は、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997年)でアカデミー賞脚本賞を受賞したマット・デイモンとベン・アフレックが、24年ぶりにタッグを組んで脚本作りに参加。14世紀フランスで実際に行われた“最後の決闘裁判”の実話をもとにした物語を、マット・デイモン、アダム・ドライバー、ベン・アフレック、そして2019年にエミー賞主演女優賞を受賞したジョディ・カマーらの共演で映画化した。

 決闘裁判とは、その名の通り、一向に解決を見ない争いの決着を、命を賭けた決闘で決定するというもの。真実を知っているのは神だけであり、その神が“正しい者”を勝利へと導くと信じられ、中世ヨーロッパで正式な法手続きとして広く認められていた。映画の題材となったのは、1386年、百年戦争さなかに実際に執り行われたフランス史上最後の“決闘裁判”。600年以上経った今もなお、“本当に裁かれるべきは一体誰なのか”と、この“決闘裁判”における判決が歴史家たちの間で物議を醸している、世紀を越えたスキャンダルだ。

 今回到着した映像では、命をかけた決闘裁判に挑む騎士カルージュ(マット・デイモン)と従騎士ル・グリ(アダム・ドライバー)の激しい決闘シーンや、手書きされた決闘シーンの絵コンテが登場し、彼らが決闘裁判に挑むことになるまでの、緊迫の裁判シーンが切り取られている。リドリー・スコット監督からマットに向けて「そこは憎しみを持つ瞬間だぞ」と演出を指示する貴重なメイキングシーンも映し出されているほか、リドリー・スコット監督自らが、撮影の裏側をエスコートしてくれているかのような感覚を味わえる、見応え抜群の映像だ。

 あわせて、甲冑に身を包み、半分切り取られたヘルメットから前方を見据えるマット・デイモン演じるカルージュの場面写真も到着。史実によると、本来は顔を全て覆ってしまうヘルメットだったが、リドリー・スコット監督は、誰が誰に何をしているかわかるように、という部分を重視して、あえて前面を半分切り取ったヘルメットを映画用に用意したという。

 マット・デイモンとベン・アフレックが手掛けた脚本は、一つの事象を登場人物それぞれの視点で描いた、黒澤明監督の映画『羅生門』(1950年)に影響を受けており、女性が声を上げることのできなかった時代に、裁判で闘うことを決断した勇気ある女性マルグリット(ジョディ・カマー)と、その夫であり、命をかけた決闘裁判に挑む騎士カルージュ(マット・デイモン)、そして、疑いをかけられながら無実を主張し、決闘裁判に臨む従騎士ル・グリ(アダム・ドライバー)が、それぞれの視点で物語を展開する、3部構成が採用されている。

 そんな脚本にひかれたというリドリー・スコット監督は、視覚的な映像表現に対する優れた才能を称賛される監督の筆頭格であり、複数のカメラを使用して、360度全方向を撮影する手法で知られている。本作でもリドリー・スコットならではのこの特徴的な撮影方法を用い、生々しくも鮮烈なアクションと、見落とすことのできない繊細な映像表現で、息遣いや息を呑む声、響き合う甲冑の音、緊迫感に包まれた空気そのものを感じとれる、リアリティある圧巻の映像を作り上げた。映像内では、「ダイナミックさが肝心。馬が速く走る時も、落ちる時も、感情の変化も、予想外の展開でも…ダイナミックさを際立たせると静寂になる。静寂は強さだ」と、鬼気迫る圧巻の映像を作り上げる極意を明かしている。