話題の映画やWOWOWでしか見ることのできない特集など、映画との新たな出会いを提供するWOWOWで放送・配信されている映画情報番組『斎藤工×板谷由夏 映画工房』(毎週金曜 後9:30~)が、今年10月、10周年を迎える。これを記念して、10月1日は「10周年記念SP」(#509)を放送。特別企画「今届けたい映画100本」の紹介や「映画工房『最も心に残った映画』総選挙!」の結果発表を行う。そして、俳優としてはもちろん、クリエイターとしても映画に真摯(しんし)に向き合ってきた斎藤工、女優として一人のファンとして映画を愛してきた板谷由夏に、番組10周年を迎える心境を聞いた。

【写真】その後、ヒゲを剃りすっきりした斎藤工

――10周年おめでとうございます。

【斎藤】ありがとうございます。番組を始めた時に終わることを考えるはずもなく、だからといって節目を目指してきたというわけでもなく、気づいたら10年。わりと早い段階で、番組スタッフ、板谷さん、映画解説者の中井圭さんとの相性の良さみたいなものは感じていました。

【板谷】リビングで映画を観ている感覚のままスタジオに来て収録している感じがあります。リラックスして臨めますし、自由度も高い。こういう風にやるべき、という決めつけがないところがよかったのかな。

――互いに負担の少ない持続可能な関係性が築けていたんですね。そんな中で生まれた『映画工房』らしさとは?

【斎藤】作品に出る側の人間が映画をどう観ているか、というのが唯一、ほかにはない切り口。それは自然と特徴になっていった気がしますね。作品に出ている役者さんと共演したことがあったり、ディレクションを受けたことがある監督の作品だったり、作品には決して映らないけど現場で身を粉にして働くスタッフさんたちを見て知っている僕らだからこそ生まれる視点というのはほかの映画情報番組にはない、『映画工房』らしさだと思います。逆にそれ以外ない。

【板谷】それしかないよね。ゲストで監督がいらっしゃると、ふたりともビビっちゃって、ガチガチになったりするとかね(笑)。

【斎藤】オーディションを受けているような気分になる(笑)。

――10年間で特に印象に残っていることは?

【斎藤】2017年にクレイアニメーション『映画の妖精 フィルとムー』を作ったことですね。経済的・地域的に映画を見られる環境にない子どもたちをはじめ、世界中の子どもたちに映画体験を届けるためのプロジェクトで、著作権フリーの作品を作りたいという趣旨を理解した上で、WOWOW『映画工房』が全面協力してくださいました。これには本当に感動しました。いまだに50ヶ国くらいの映画文化のないようなアフリカなどで見られていて、お礼状が僕らのところにまで届き続けている。番組名の“工房”にふさわしい、無形を有形にすることができたことが印象的です。

【板谷】この10年、ゼロベースから何かを生み出そうとしている意欲をどんどん高めていく工くんを見ていたな、とも思います。特に『フィルとムー』では、やろうと思ったらできるんだ、というのを目の当たりにした初めての経験でもあり、感動もしましたし、番組が映画を紹介するだけではない違うステージに上がった感じはすごくありました。やれたらいいね、というのは簡単だけど、ちゃんと形にしていくところが工くんの面白さであり、スゴさだと思っています。そんな工くんや番組スタッフと、次の10年までに何ができるだろうか、と期待でいっぱいです。

■映画は分岐点にさしかかっている

――映画が発明されて130年経ちますが、映画の良さってなんだと思いますか?

【板谷】旅ができることだと思う。どんな作品でも自分とは違う場所、世界に連れて行ってくれるのが映画。そこで知ることもあれば、経験の一つになることもある。娯楽でもあり、私にとっては本を一冊読むのと同じ感覚なんですよね。だから映画がなくなったら困るとしかいいようがない(笑)。ただ映画館については、正直いうと、映画館でも配信でも同じ作品が観られるとなったら、子どもたちと一緒に観るなら配信を選んでしまうかもしれない。子どもを連れて映画館に行くよりコスパがいいですし…。ただ映画館に行かなくなるのもさびしいことだな、と思うんですよ。映画を見るのも旅だけど、映画館に行って、帰ってくるのも一つの旅だから。子どもたちにとっても、自分の好きな世界観を持つためには一人で映画館に行って、一人で映画を見るのはすごく大事なことだと思うんですよね。映画と映画館の問題で済む話ではない気がするんですよね。

【斎藤】海外の映画祭に大小問わず、回らせてもらった時に、映画って世界共通の言語なんだな、と思いました。日本の昔の映画の話をすることも珍しくないですし、みんな小津安二郎の作品を見ていたりするんです。住んでいるところも、話す言葉も、文化も、年齢も、性別も、いろいろ違っていたとしても、同じ映画を見て同じところで笑ったり泣いたりすることもあれば、違うところで反応したりもする。相違点を確かめる行為でもあるんじゃないかな。アカデミー賞のラインナップを見ても、映画にはジャーナリスティックな役割もあって、そういうものとして世界中の人が捉えているようにも感じます。

 でも、次の10年のことを考えると、『映画工房』が続いていたらとてもハッピーなことなんですけど、それ以上に映画はどうあるべきか、みたいな時代に確実になっていると思うんですね。『サマーフィルムにのって』(21年、松本壮史監督)では、映像の尺は5秒がスタンダードになっていて、映画館はなくなっているという“未来”が出てくるんですが、あり得るかもと思ってしまいました。映画って昔は2時間くらいだったのに、今は70分~90分の作品が増えているし、動画は「倍速視聴」が当たり前とか言うでしょう。この速度でいったらどんな未来になってしまうのか、ちゃんと考えていかないとダメだなと思う分岐点に差し掛かっている気がしますし、いまならまだ間に合うかもしれないとも思います。

■『斎藤工×板谷由夏 映画工房』10周年記念SP(#509)
10月1日(金)後9:30~放送・配信
WOWOWプライム(無料放送)、WOWOWオンデマンド(無料トライアル実施中)ほか

 WOWOW視聴者(加入者)とリモートでの公開収録を実施。通常と同じく、WOWOWシネマで紹介する映画「ガールフット」を紹介しつつ、視聴者とのトークや質問コーナーなども実施する。「『最も心に残った映画』総選挙!」では、過去に番組で扱った1118本以上の映画の中から最も心に残った映画を決める一般投票企画を実施。その結果を番組で発表。さらに、斎藤・板谷・中井の3人が選んだ「今届けたい映画100本」を紹介。その映画DVD100本を視聴者にプレゼントする。

※10周年回で発表する「今届けたい映画100本」は、あなたの映画体験を深めるサイト「WOWOWライフ with シネマ」にて公開(※10月1日夜予定)
https://www.wowow.co.jp/com/cinema

■番組ホームページ
https://www.wowow.co.jp/koubou/

斎藤工(ヘアメイク:赤塚修二(メーキャップルーム)/スタイリスト:yoppy @ juice)
板谷由夏(ヘアメイク:JILL 林カツヨシ/スタイリスト:古田ひろひこ)