「非常口から飛び出す人間」の作品がSNSで20万を超えるいいねを得た。制作したのは飛び出す作品アーティスト・松枝悠希さん。非常口から飛び出す人間や、卵が殻から飛び出す瞬間や、ありそうでありえない瞬間を具現化しており、平面から飛び出す立体作品を国内外で展示、発表しているそう。作品がバズった感想、SNSの力、海外からの反響などを聞いた。

■いつも通りに作品を投稿したはずが突然のバズ…「バズった後にすることを勉強しました(笑)」

――「さっき完成したやつ」と投稿された非常口の作品が20万を超える“いいね”を集めていましたね。すごい反響でしたが、いいねが集まっていく様子をどんな気持ちで見ていましたか?

松枝悠希さん 今までこんなにたくさんの“いいね”がついたことがなくて、最近ではスルメを炙った投稿が一番いいねついていたくらいでした(笑)。スルメに勝てないな…と思いながら日々を過ごしていましたが、この作品を投稿して3時間ほど経った深夜に800くらいのいいねがついているのに気付いて、「やっとスルメに勝てた!」と、大喜びしました。次の日の昼頃にどんどんいいねが加速して、フォロワーさんも増えて、「これがバズるということか!?」と感じ、「バズった後にすること」を検索して勉強しました。たくさんの方が反応してくれていて、あたたかいメッセージも多く寄せられて、とても嬉しかったです。

【写真】「非常口から飛び出す人間」「殻から飛び出す卵」あり得ないけど面白い! 話題のピクトグラム作品集

――「バズるの初めてです」というコメントもありましたが、こちらの作品を投稿するにあたって注目が集まる予感はありましたか?

松枝悠希さん 全く感じていませんでした。過去にも似たようなものを何度も投稿しているので、いつも通りのつもりでした。

――制作するうえで、特にこだわったところは?

松枝悠希さん この作品に限りませんが、透明の部分は自分の納得のいくまでなんどもチャレンジします。失敗の連続ですが、そこからいい形のものができるまでやり続けます。また、フレームの完成度や、機能を使いやすくしました。本物に見間違えるくらい、ピシッとしたフレームに仕上げてあります。LEDや電源、スイッチなども改良し続けて、扱いやすいものにしてあります。

■日常的に目にするものの見方を変えて作品に「脱出や解放というメッセージも」

――本作を作られた松枝さんについて教えてください。

松枝悠希さん 1980年、茨城県生まれです。東京藝術大学デザイン科に入学し、2008年に作家活動を開始しています。2010年には東京藝術大学 大学院後期博士課程も卒業しています。

――アーティスト活動をすることになったきっかけなどがありましたら教えてください。

松枝悠希さん 作ることが好きで好きで、大学、大学院、博士課程とずっと作品を作っていました。このまま手を動かし続けるにはどんな方法があるのだろうと模索し、アーティスト活動することがそれにあたるなと思ったことがきっかけです。

――アカウントのプロフィールに「ありそうでありえない瞬間を作品に」と書かれていましたが、ほかにはどんな作品を作っていますか?

松枝悠希さん 卵の黄身が飛び出たり、トランプのマークや人が飛び出たり、漫画の文字やものが飛び出たりしています。

――作品を作るうえで、どんなことがモチーフになるのでしょうか? また、どんなときに作品のイメージがわくのでしょうか。

松枝悠希さん 基本的に身の回りにあるものですね。日常的に目にするものの見方を変えてあげることが大切になってきます。作品のイメージというか、ネタはたくさん頭の中にストックしてあります。次はこれを作りたいとか、ずっと考えているけど、なかなか形にできないものもあります。

――平面と立体を融合させた、勢いや躍動感を覚える作品ですが、作品に込めたメッセージはあるのでしょうか?

松枝悠希さん 私の“飛び出している作品”の大元にあるのは、脱出や解放です。また、見方、考え方、環境を変えるということも含まれてきます。特にSNSでの誹謗中傷やいじめ問題など、昨今のストレス社会に向けて、「危なくなったらいつでも逃げていいんだよ」というメッセージもあります。

――ピクトグラムといえば、東京五輪の開会式でも話題が集まっていましたね。なにか感じることはありましたか?

松枝悠希さん ピクトグラムは日本人が起点として世界中に広がったものです。世の中が再度ピクトグラムに関心を持つことはとても素晴らしいことだと感じていました。

――SNSで発信する理由、松枝さんが作品をSNSで発信することの重要性をどのように感じているか教えてください。

松枝悠希さん 作家活動において欠かせない活動だと思っています。広報的なものもありますが、みんなが見てくれて反応してくれるとモチベーションも上がります。

――今後の目標などがあれば教えてください。

松枝悠希さん 死ぬまで作り続けることです。そのためには、健康を維持することも大切だと感じています。