9月23日より劇場公開された韓国発のアニメーション映画『整形水』が話題です。美しくなりたいという人間の果てなき欲望と狂気をアニメーションで描いた容赦なき新感覚サイコホラー。“整形大国”の韓国で、ルッキズム(外見にもとづく差別、外見至上主義)やネット上での誹謗中傷といった現代社会が抱えている問題をあぶり出し、エンターテイメントへと昇華させた本作は、世界中の映画祭で高く評価され、昨年ロックダウン中の韓国で劇場公開された際も大きな話題を呼びました。

【動画】『整形水』日本語吹替本予告

■原作は世界中で驚異の閲覧数と高い評価を誇るマンガ

 日本では「LINEマンガ」で独占配信中のオムニバス作品「奇々怪々」内の「整形水」(作:Osd)。グローバルでの累計閲覧数は31億回を超え、韓国「NAVER WEBTOON」サービス内での評価は10点満点中9.9点を獲得する人気作となっている。

■誰もが美しくなれる奇跡の水。つけたら最後、破滅のはじまり―。

 小さい頃から外見に強いコンプレックスを持ち、人気タレントのメイクを担当しているイェジ。タレントからは罵倒され、ふとした偶然で出演したTV番組では、自分への悪意ある書き込みで自暴自棄に。そしてある日、巷でうわさになっている“整形水”がイェジの元へ届けられた。それは、顔を浸せば、自らの手で自由自在に思い通りの容姿へと変えることができてしまう奇跡の水だった。

 「“奇跡の整形水”の使用方法」動画を見つめるイェジ。後遺症も副作用もない。誰もが美しくなれる“整形水”を手にした彼女は、美しくなりたいという欲望に駆られ、 “整形水”を試すことを決意する。全く新しい人生を歩むために…。

  “整形水”で思い通りの容姿に変身したイェジ。それは、母親も気付かないほどで、名前も「ソレ」に変え、新たな人生をスタートさせる。完璧なスタイルと美貌を手に入れ、ようやく幸せを手に入れたかと思われたものの、それからしばらくして、周囲で不審な出来事が起こり始め、迫りくる“何か”に追い詰められていく…。

■“完璧な美”を手に入れたその先に待っているものとは――

 本作がデビュー作となるチョ・ギョンフン監督は「外見への恐怖、他人の視線に対する恐怖を観客にストレートに投げかけ、私たちが作り出し、抜け出せないでいる、“外見至上主義”に対する絶望と悲しみを表現しようと思いました」とコメント。

■日本語吹替版声優が見た『整形水』

【沢城みゆき】 イェジ(“整形水”使用前)/ソレ(“整形水”使用後)

 ホラーは苦手なジャンルなのですが、実際に見てみると、想像よりポップな印象で、すごく清潔感が立つ作品でした。Made in Japanとはまた違う雰囲気をまとっています。ラストは、日本だとそこまでやらないと思うほどの衝撃の展開。もう1歩も2歩も転がり落ちていくんだというのは、韓国ならではともいえるかもしれません。

【諏訪部順一 】ジフン(“整形水”を使用する前のイェジにも優しく接していたイケメン新人俳優)

 現代社会の歪みをベースにしたダークファンタジーとも言うべきこの物語の結末には、自分も「えぇーっ!?」と驚愕しました。後世に語り継がれるレベルではないかと思います。ぜひ御覧いただきたいです。

【上坂すみれ】ミリ(イェジの外見を罵りからかう傲慢な態度の人気タレント)

 テーマは美しさですが、ここまで外見至上主義を描いた作品はないと思います。出てくる人皆、美を追い求める以外の感情がすごく欠損していて、思いやりや優しさを失ってしまう。その代償として美を手に入れたとしても、そこに意義はあるのだろうかと?と容赦なく我々につきつけます。それが今の韓国のパワーなんだなと思います。

【日野聡】キム(芸能事務所のマネージャー)

 作品の発想が非常に面白く、且つ物語的にも怖くドキドキするエンタメ作品で、演じるのを楽しみにしていました。美しさだけが本当の幸せではないというメッセージ性の強い作品だと思います。安易に美を手に入れられる怖さや、本質を見極めることの大切さについて考えさせられ、さらに、欲しいものを手に入れてしまうと、さらなる欲がでてしまう人間の恐ろしさを描いているのも、この作品の魅力です。