岐阜県関市にある通称「モネの池」。透明度の高い湧水に睡蓮の花が咲き、その中を鯉が泳ぐ美しい池である。元々は地元住民にも認知されていない「名もなき池」であったが、2015年にSNS上で「まるでモネの『睡蓮』の絵のようだ」と話題に。それ以降、現在までにInstagramでは「#モネの池」で10万件以上もの写真が投稿されている。また、現在では関市の観光サイトでも紹介されるなど、人気の観光地としても定着しつつある。注目を集め始めてから早6年、「モネの池」を取り巻く状況や観光地化したことへの思いなどについて、池の管理者である白谷自治会・会長に話を聞いた。

【画像】「どうみても油絵!」年間10万人以上訪れるほど美しすぎる『モネの池』、現在の姿

■地元住民を影で支えてきた「名もなき池」に突如観光客が殺到、地元の有志で管理続ける

 「モネの池」は関市の根道神社の敷地内にあり、昭和50年代に農地を整備する“ほ場整備事業”で水田の水を引くために整備した池である。水田用の池のため、地元住民や観光客にはあまり知られておらず、「名もなき池」と名付けられたという。

 現在はモネの池協議会(白谷自治会有志10名程度)、根道神社の関係者(総代会5名)が管理をし、白谷自治会長が代表者となっている。また、植物園「フラワーパーク板取」の協力のもと、睡蓮・コウホネなどの植物を管理している。

 「湧き水が出るため、当初は“ほたるの里”として池にカワニナなどを入れて、ヘイケボタルを増やす計画でいたんです。でも、その数年後に地元の人が鯉を入れてしまったため、餌が食べられてしまいました。そこで、『フラワーパーク板取』の管理人が睡蓮やコウホネなどの植物を池に入れて栽培を始めたという経緯があります」(自治会長、以下同)

 ところが、2015年頃に全国版と東海や関西でテレビ放映されたことがきっかけとなり、「モネの池」としてSNS上で大きな反響を呼んだ。それによって、一気にたくさんの人が押し寄せることになる。

 「『モネの池』を見ようと観光客が殺到したのですが、駐車場が1ヶ所しかなく交通渋滞が生じたほどだったんです。以後、地元の自治会などの協力を得て、第2・3・4駐車場を整備・確保した上で、さらに臨時駐車場を3ヶ所も確保したような状況でした」

 そこまで多くの人の心を惹きつけた「モネの池」の魅力は、何と言っても透明度が高くて美しい湧き水。その中を錦鯉が優雅に泳ぎ、さらに5月下旬から8月にかけては睡蓮・コウホネの花も見られる。

 「秋には色鮮やかなモミジの紅葉が池に映し出され、冬は降りしきる雪の中で池が見られるのもとても魅力的です。また、国道沿いや駐車場、橋からは、透き通った板取川を合わせて見ることもできます」

 「モネの池」がSNS上で話題を集め始めてから6年ほどが経過したが、現在でも一目池を見ようと訪れる観光客は後を絶たない。

 「平成28、29年度には約21万人ずつ、平成30年度は約16万人、令和元年度は約17万人、令和2年度は約10万人、令和3年度も4月から7月までで、すでに約6万3千人の方がお見えになっています。平成28年4月から令和3年7月までで、推計92万5500人もの方が訪れてくださいました」

 現在まで観光客が途絶えないことについては、「そもそも根道神社の敷地内にある池であり、『フラワーパーク板取』が隣接しているものの、周りには水田があるような場所なので、大きな反響が続くとは考えていませんでした」と驚いた様子。ただ、池の美しさを維持するために、自治会をはじめとする管理者たちで細かな部分にまで注意を払っているという。

 「まず、鯉にえさを与えられてしまうことを防ぐために看板を設置しています。また、池の周りには緑の敷物を張り、池の中央にある橋までの一部を大理石を使った歩道にして、土や砂利が池の中に入らないようにしてあります」

 現在では、長良川の鵜飼いなどと並んで、関市の観光サイトでも紹介される有名スポットとなった「モネの池」。もちろん有名になったことで、良かった点は多数あるという。

 「東海地方をはじめ、全国からたくさんの観光客が訪れてくれます。板取川で釣りや水泳を、さらに川浦渓谷や板取川温泉、あじさいロード、21世紀の森公園、四季の森岩本、コテージ湯屋、TACランドいたどり(オートキャンプ場)、その他のキャンプ場などの観光施設や、隣接する洞戸地区もコロナ禍で制約はありますが、賑わっています」

■課題も存在、警備員配置の対策も「密にならないよう静かに池を見学して」
 
 一方で、有名になったことで、管理が難しくなったり、課題が生じたりしているのも事実。特に、交通量の増加は大きな問題のひとつとなっている。ゴールデンウィークやあじさいの開花時期、お盆、休日などには、どうしても「モネの池」周辺で渋滞が発生しやすい。

 「昨年度からのコロナ禍においては、観光客が密にならないように、看板設置・臨時駐車場3ヶ所の閉鎖、土曜日・日曜日・祝日などに警備員を配置するといった対策を行いました。ただ、依然として全国からの観光客が多いのが現状です」

 四季折々でそれぞれ全く異なる風景が楽しめるのも「モネの池」の大きな魅力ではあるが、あじさいが咲く6月下旬から7月上旬で、睡蓮やコウホネの花が見られる時期が訪れるのには一番おすすめとのこと。

 「あと、時期を問わず、『モネの池』『株杉』『板取川温泉』『川浦渓谷』『四季の森』『コテージ・キャンプ』を組み合わせた観光をしていただくことをおすすめしますね」

 今や人気の観光スポットとなった「モネの池」だが、いつまでも安全に多くの人たちに楽しんでもらうために気をつけてほしい点について、最後に語ってくれた。

 「地元の方々も観光で訪れる方たちも、コロナ禍であるため、三密にならないように注意をして、なるべくお静かに池を見学していただきたいと思います」