現在放送中の大河ドラマ『青天を衝け』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)。日本資本主義の父と呼ばれた渋沢栄一(吉沢亮)の生涯を描いた本作は、2月放送開始、東京2020オリンピック・パラリンピックによる中断など、大河ドラマとしては、異例のスケジュールでの放送が続いているが、好視聴率をキープし評判も上々だ。そんな好調な本作で、制作統括を務める菓子浩氏に、気になる今後の展開について聞いた。

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 先日、本作が12月26日の放送をもって終了するというアナウンスされたとき、SNSなどでは「1年間やってほしい」「もっと放送回を増やしてほしい」という意見が相次いだ。菓子氏は「俳優さんたちの力もありますが、そういった声をいただけるのはありがたいです」と感謝を述べる。

 実際、全41回という放送は近年の大河ドラマのなかでも少ない。91歳まで生きた渋沢栄一の生涯を描くうえで、この放送スケジュールは、なにか影響を及ぼすことはあったのだろうか。

 菓子氏は「回数が変わるというのは、今回のドラマに限らずあることです」と前置きすると「物語上、大きくなにかが失われるということはありません」と語る。一方で、コロナ禍での撮影の苦労は、本作の撮影中は常にあったという。

 「まずクランクイン直前の昨年、1回目の緊急事態宣言が発出され、撮影が大きく遅れました。そこから安全対策を最優先にしながらの撮影は、通常よりは時間がかかりますが、それよりも、コロナ禍によって撮影ができるものと、できないものが決まってしまうことが大きな悩みでした」。

 その最たる例が、パリ万博のシーンだ。ギリギリまで現地でのロケの可能性を模索していたが、現実的ではないという判断で断念。「できることを考え、知恵を絞り描いてきたわけですが、こういうプラン変更というのは、本数が減ったことよりも、厳しいですね」と本音を漏らす。

 それでも菓子氏は「安全を第一に、キャスト、スタッフともに、良いものを見てもらいたいという熱意を持って、やれる範囲のなか、クオリティを損なうことなくやっているので、楽しんでいただけているというお声をいただけるのは、励みになります」と笑顔を見せる。

 また、前半戦で大きな話題になった北大路欣也演じる徳川家康の登場シーンについても「明治時代になったからといって、日本が急に変わったかというとそうではないんです。明治政府も最初は江戸城を使っていましたし、長州や薩摩が中心に作った政府も、実務は徳川の人間が支えていた。その意味で、家康が語ることはまだまだあるんです」と語ると、江戸幕府崩壊後も、頻度はこれまでよりは少なくなるが、これからも登場するという。

 「大河ドラマや連続テレビ小説のように、長い期間やっている連続ドラマだと、オンエアしてからの反響というのは、物語に取り入れることがあります。家康さんについても、最初は北大路さん自身、出演されるかどうかを迷われていたのですが、放送がスタートすると、先々も家康として登場したいと、ご本人が仰ってくださったのは、とてもうれしいことでした」。

 12日放送の「篤太夫、再会する」から「静岡編」がスタートする。菓子氏は「いよいよ実業家である渋沢栄一の本領が発揮されていきます」と期待をあおると「現在の日本につながる数々の改革を数年で行い、その後民間に下ってからは銀行などの経営に邁進します。その過程において、三井を仕切った大番頭の三野村利左衛門(イッセー尾形)や、三菱の創業者・岩崎弥太郎(中村芝翫)など癖の強い人物も出てきます。また栄一の家族の物語も色濃く描かれるので、ぜひ楽しみにしてほしいです」と見どころを語ってくれた。(取材・文:磯部正和)