大河ドラマ『青天を衝け』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)は、今週放送の第26話「篤太夫、再会する」から、「静岡編」に突入。吉沢亮演じる主人公・渋沢栄一が、実業家としての道を邁進する姿が描かれる。昨年7月末にクランクインしてから、1年以上が経過した現在、本作の制作統括を務める菓子浩氏は、吉沢のこれまでの芝居をどう捉えているのだろうか――話を聞いた。

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 「日本資本主義の父」と称される栄一は、一般的には実業家としてのイメージが強いが、本作では、血洗島(現在の埼玉県深谷市)の農家の子として育ったところから、尊王攘夷の志士として目覚め、さらに一橋家に従え、第15代将軍徳川慶喜の家臣になり、パリ万博に同行するという、波乱万丈の青年時代を分厚く描いている。

 この点について菓子氏は「実業家として責任感と情熱を持って、さまざまなことを成し遂げた渋沢栄一という人を描くとき、彼の原点である若かりし時代をしっかり見せることは、非常に重要なことだと思ったんです」と意図を説明する。

 そんな熱さと真っすぐな行動を、存分に表現できる若い俳優――という視点で候補にあがったのが吉沢だ。以前の会見でオファーした理由について「力強くて、瑞々しい人物を演じるのにピッタリ」と菓子氏は話していたが「クランクインから1年経ちましたが、撮影が進めば進むほど、改めて吉沢亮という俳優の底知れぬ実力を日に日に感じています」と感想を述べる。

 そう感じた理由について「渋沢栄一という人物について、多くの人はイメージを持っていないと思うんです」と前置きすると「だからこそ、最初に一つキャラクターを作り上げるのですが、渋沢は百姓から武士、そして実業家とやっていることも、ステージも変化していくので、いったん作り上げたものだけでは、太刀打ちができない。だからと言って別人になってしまってもいけないという、非常に難易度の高いキャラクターだと思います。。そんな難役を、僕から見ていると、とても軽やかに演じている。改めてすごい役者さんだなと感じています」と説明する。

 さらに菓子氏は、吉沢の魅力について「発する言葉の説得力」をあげる。「せりふとして話しているのではなく、台本を一回全部自分のなかに落とし込んで、いままで自分が作ってきた渋沢栄一の言葉としてしゃべっているんだと思います」。

 せりふを覚えてしゃべるのではなく、言葉をキャラクターに染み込ませ、渋沢という役として発するという作業は「並大抵のことではない」と菓子氏は言うが、そんなことも軽やかにやってしまうというのだ。「現場に台本を持ってきているのを、ほとんど見たことがないんです。もちろん見えないところでやっていらっしゃるとは思いますが、そんなところもすごいと思うんです」と脱帽する。

 「静岡編」以降、渋沢は実業家として大活躍を見せるが、ドラマでは、人生の幕を下ろす91歳までしっかりと描くという。「残りの話数のこともあり、ここからは1話で何年もの時間経過があることもあります。渋沢の根っこの部分がブレることなく、変化を表現していくことは、さらに難しくなると思います。俳優としてかなりのハードルだと思いますが、吉沢さんならきっとやっていただける」と、吉沢という俳優のポテンシャルの高さにさらなる期待を寄せていた。(取材・文:磯部正和)