これまで、数多くの猫を保護してきたNPO法人『ねこけん』。飼い主のいない地域猫、ケガをした猫、虐待を受けた猫など、その状況はさまざまだ。保護した猫たちはシェルターと呼ばれる家で人との暮らしに慣れ、やがて新しい家族の元へと巣立って行く。中には、なかなか人に心を許さず、シェルターで生涯をまっとうする猫もいる。そんな猫たちの経緯や暮らしぶりを紹介する『ねこけん』ブログでも、とくに人気が高かったのが「じゃみお」だ。ついに新しい家族との出会いを果たした「じゃみお」について、代表理事・溝上奈緒子氏に聞いた。

【動画】「なんだその声…www」、じゃみおの個性的で可愛らしい鳴き声

■足をケガしているのかと思いきや…、「じゃみお」改名の理由

 じゃみおは、足をひょこひょこさせて歩いているところを『ねこけん』メンバーが発見し、保護した猫である。

 「うちのメンバーは車に捕獲器を常備しているんですが、偶然見かけた猫が足にケガをしているように見えたので、捕獲器で保護して。当初は『ちゃんと歩けるようになりますように』という願いを込めて、『アルク』と名付けました。でも、病院に連れていったところ、足には異常が見られなくて、普通に歩けるじゃん!と(笑)。しかも、鳴き声があまりにもダミ声というか、“じゃ~みゅ~”と鳴くので、『じゃみお』と名前を変更したんです」。

 「じゃ~みゅ~」「んじゃ~」と不思議な声で鳴くじゃみおだが、実は個性的な鳴き声の猫は多いと言う。「普通に“ニャ~”と鳴かない子も結構いるんです。クルクルクル~って鳴く猫や、まるでしゃべっているような猫、逆にまったく鳴かない子もいます」。

 推定年齢は、3歳~5歳ほど。保護された当初からとても人懐っこいじゃみおだったが、去勢されていないところを見ると、地域猫として暮らしていたのはほぼ間違いない。すぐに去勢手術を施し、じゃみおの『ねこけん』生活はスタートした。

 また、じゃみおは鳴き声ばかりか顔の大きさも個性的だった。『ねこけん』が保護した虎吉、ドボン、たまおと共に“顔デカ四人衆”を結成(?)し、ブログにもたびたび登場。茶白で巨顔のじゃみおは、キリリとしたイケメンぶりと愛嬌で、ブログ内でもすぐに人気者となった。

 保護した猫が人に慣れてない状態だと、シェルターで生活を始めても、里親募集をするまでに2~3年かかるのが普通だという。だが、「じゃみおは非常に人懐っこくて、人が大好きな猫なんです。性格もとてもいい子」ということで、里親募集に出すまでにそれほど時間はかからなかったそうだ。

 いまや保健所や動物愛護センター、ボランティア団体による譲渡会は日本中で行われており、里親に興味を抱く人も増えてきた。『ねこけん』でも譲渡会でお見合いをし、トライアル期間が無事終了すれば、双方合意のうえで正式譲渡となる。コロナ禍の現在は、オンライン譲渡会を開催している。

 そんなオンライン譲渡会で、早速じゃみおを見初めた家族が現れた。

 譲渡会後、その家族は申し込みのために会場を訪れることとなったが、当のじゃみおが交通渋滞で到着が遅れてしまうというトラブルが発生。せっかくのお見合いができない…かと思いきや、じゃみおがやっと会場入りしたと思ったら、すでに家族は申し込みを終えていたというスピード婚だった。こうしてじゃみおは、晴れてオンライン譲渡会での家族決定第1号となったのである。

 トライアル期間をクリアしたじゃみおは、フワフワでモフモフの大きな犬のいる新しい家族の家へと巣立っていった。『ねこけん』ブログには、そんな新天地でのじゃみおと、モフモフ兄弟が仲良く昼寝する写真がアップされている。じゃみ声で巨顔、愛嬌たっぷりのじゃみおは、きっとのんびり幸せをかみしめていることだろう。

(文:今 泉)