多くの担当者が立て続けに解雇となった東京五輪の不祥事。YouTuberや芸人など、芸能界でも不祥事が起こると徹底的に糾弾され、本人だけではなく周囲にも余波が及ぶことも。追及するのは現在の不祥事だけにとどまらず、“過去の言動や行動”も対象に。ORICON NEWSでは、「芸能人・著名人が過去にとった行動や言動を、現在において批判や問題視されることについて」の意識調査を実施。その結果、半数となる約5割が【適切だと思う】と回答する結果となった。一方その議論を行う上で「本人・起用した組織の双方から十分な説明責任が果たされていない」「若い頃の誤りの場合、どこまで責任を負うべきか」などといった懸念も出てきている。不祥事について議論される際に何を考えるべきなのか、調査結果をもとに考える。

【図表】「人の炎上を楽しみたいだけ?」「行き過ぎた正義」不祥事への批判を議論するときに懸念すべき点とは

■裁かれるのは「適切」である一方で、“行きすぎた正義”による攻撃的な誹謗中傷に

 東京五輪を巡っては1990年代に雑誌インタビューで話していたいじめ問題から歌手・Corneliusの小山田圭吾が音楽担当を辞任。元ラーメンズ時代のコントでユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)をパロディーにしていたことで小林賢太郎氏が五輪開閉会式のショーディレクターを辞任するなど、過去の出来事が火種となり、立場を追われるという事態が相次いだ。その過去の行いを決して擁護することはないが、私刑にさらされ、活動できなくなるほどに徹底的に追い込んでいく様は、危うさを感じているユーザーも多い。

 ORICON NEWSの意識調査で「芸能人・著名人が過去にとった行動や言動を、現在において批判や問題視されることについてどう思うか?」という問いに対しては、【適切だと思う】が49%、【適切ではないと思う】が32.5%、【分からない」が18.5%という結果に。また、過去の誤りに対して、説明責任があるのは、【公人(公務員や議員など公務についている人)】が82.3%、【準公人(芸能人・著名人)】が79%と高かった(一般人は14.5%)。

 【適切だと思う】と回答した人の意見としては、東京五輪で解雇となった人物を例にあげたコメントが多く、「一般人と違いメディアに露出している点、それが生業になっている点などを考えると適切だと思う」(千葉県/40代・男性)、「過去からの過ちを改めているものがあるならば考えようがあるが、そこから変化していないようだったら、処理する必要があると思う」(神奈川県/20代・女性)というコメントもあった。

 一方で、【適切ではないと思う】と答えた人の中には、「1度そういうことがあったというだけで、その人の活動や人間性を全て否定するのは違う」(東京都/30代・女性)、「批判すること自体が不適切だとは思わないが、言い出したらキリがない上にクリーンな人の方が世の中少ない」(兵庫県/20代・男性)との声も。

 どんな事例であるかによって異なるため一概には言えないが「行きすぎた正義が多い。批判するなら自分の名前や顔を出すべき」(東京都/20代・女性)、「ただ足を引っ張っているだけでリークした人はそれで満足なんですかね?自己満の世界」(埼玉県/50代・男性)といったコメントもあり、“問題化までの経緯”には疑問符を付ける人も多いようだ。

■「説明責任が果たされてない」「攻撃性の強い誹謗中傷をされる」、議論する上での懸念点も

 では、問題化していく過程で、どのような点を懸念すべきなのか。

 ORICON NEWSの調査では、【本人の十分な説明責任が果たされないまま、立場を追われて自然消滅】という意見が36.9%で、もっとも多かった。また、【起用した組織・企業の十分な説明責任が果たされない】も20.6%が懸念点としてあげていた。昨今、本人や起用した組織や企業の双方がきちんと説明責任を果たした事例は限られており、片方の主張だけにとどまっていたり、ノーコメントを貫く場合も多い。

 さらに【批判ではなく、攻撃性の強い誹謗中傷をする人がいる】(22.4%)、【SNSなどの炎上を楽しむ・参加したいだけの人がいる」(20.8%)といった意見も高い。何か騒動が起きた際に、説明責任を果たさず“アラ(議論の余地)”が見えている状態で、色々とツッコミを入れたくなる場面がこれまで幾度となくあった。そして、多くの場合、直接、被害を被った側は、表に出てこられない。被害者がいない状態で、加害者と見なされた側も口を閉ざし、外野が好き勝手言えてしまう現状もある。これが攻撃性の強い誹謗中傷を助長している。

■「情報が曲解され過剰な表現に…」正しい情報を判断するリテラシーが求められる時代に

 過去の言動や行動に対する不祥事の議論について、同アンケートの回答者からは「説明の機会を与えるべき」「その経緯や過程を公平に報道してほしい」という声が多く集まった。なかには「立場を終われる前に断片的な説明ではなく、過去の過ち、今に至るまでの過程など説明をする機会を与えるべき。それを公平に報道する必要がある。採用した側も、採用に至るまでの過程、当該人物を選定した理由を明らかにするべき」(東京都/30代・女性)との意見も寄せられた。

 また、「過去の問題行動を起こした人だけでなく、起用に至った経緯に問題はなかったのか。本人を叩くだけの議論で終わらないこと」(愛知県/30代・女性)といった、起用への経緯を明確にするべきという意見も多かった。

 そのほか、「批判は甘んじて受けるべきだと思う。その姿勢が無い限り叩かれ続ける。まともな議論になるのはどういう状況であれ、本人の後悔と真摯な謝罪や保証があってから初めて始まると思う」(鹿児島県/40代・男性)と、まずは真摯に受け止め、本人がどう謝罪など行動するのか誠実な対応を求める声もあった。

 メディアやSNSに対しても「情報が紆余曲折して過剰な表現になっていたのを見かけた。メディアが正しい情報を的確に伝え、議論することが大事」(千葉県/20代・女性)、「いろんな意見を、SNSなどではなくきちんとした場で議論できる場所も必要だと思う」(鳥取県/20代・女性)と今後のあり方を問う意見も寄せられていた。

 最近では、YouTube上にソース(情報源)が明確ではない“切り抜き動画”や、本人や被害者のなりすましSNSなどが散見され、見る側のネットリテラシーがこれまで以上に求められる時代になった。何が真実であるのかを判断するのは非常に難しくなってきているからこそ、我々メディアに対しても、公平で公正な報道をすることが求められているのだ。

【調査概要】
調査時期:2021年8月3日(火)~8月10日(火)
調査対象:計1000名(自社アンケートパネル【オリコン・モニターリサーチ】会員 未成年の子どもを持つ保護者・20代、30代、40代、50代の男女 ※年代を人口構成比に合わせたウェイトバック集計)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ