アルキメデスさん(@n26edd3Pt24U3Hk)は、艦艇や航空機をメインに制作するモデラー。機体をリアルに仕上げるだけでなく、波のうねりや繊細なしぶきの表現までこだわり、リアルすぎるジオラマを作り上げている。同氏はこの完成したジオラマを写真に収め、専用のアプリで画像を加工。波が実際にうねっているかのようなモーションを加え、まるで本物の艦艇が海の上を航走しているように見える作品も発表。4.2万いいねを獲得し、海外のモデラーからも賞賛された。これらの作品を生み出した背景には、戦艦大和で戦死した伯祖父(祖母の兄)への思いがあった。

【動画】本当に模型?…波がうねり、航走しているように見える“リアルすぎる”艦艇ジオラマ

■動画アプリで“波が動く”ジオラマに「制作した本人ですら驚きの出来」

――艦艇や航空機によるリアルすぎるジオラマを発表され、多くのモデラーさんから賞賛されてます。艦艇はもちろんなのですが、その波のリアルさが、ジオラマの臨場感をより引き立てていると思います。波へのこだわりを教えていただけますか?

【アルキメデス】こだわりの一番は、海面の色合い調整です。室内ライトと自然光でかなり海の表情が変わりますので、僕の場合LEDライト、蛍光灯、自然光を当てながら、ある程度、同じ色合いを出すように調整しています。季節の条件も含みますが、調整した海面は光の入り具合も影響もありましてさまざまな表情を見せてくれます。また、現実寄りにしすぎてしまうと展示したときに見栄えに影響を与えてしまいますので、少しスケールを変えた仕上がりにしています。

――“波”は一定ではないので、明確なモチーフがあるわけではないところが難しそうですね。

【アルキメデス】波立ちや海面のうねりは自然物ですので、同じシーンは二度と訪れません。ある種、生き物であると思っていますので、これが正解ということがなく、「こんなシーンが、あったら良いな」と考えつつ制作しています。といいながら、自然物を制作する事はとても難しく、僕にとって永遠の課題になっています。国内外モデラーさんの作品表現の良いところや、海の写真や映像を見て自分に取り込めそうな技術は日々、勉強しています。

――SNSではこの波が動く動画も投稿され、こちらもリアルすぎると話題になりました。

【アルキメデス】画像編集アプリを使いまして、水の動きを加えるモーションを足してみました。一部の海外モデラーさんが使われていたので、「これは面白そう」と思い、「自分のジオラマを動かした時にどれぐらいリアルになるのだろう?」とダウンロードして動かしてみました。

――実際に使ってみていかがでした?

【アルキメデス】制作した本人ですら驚きの出来でした。このアプリで遊ぶことへのワクワク感が止らず、半端ない達成感も味わいました。

――周囲の反響はいかがでした?

【アルキメデス】いつも作風や表現を参考にしている海外モデラーさんの方々にもかなりウケた感じでした。自分が制作したジオラマが動くことは夢がありますし、映画『ナイトミュージアム』の世界観が気軽に楽しめるのは最高です。

■「模型」にハマったきっかけ『戦艦大和』に惹かれた理由

――護衛艦『きりしま』はどうして作ろうと思われたのですか?

【アルキメデス】動画で海上自衛隊の公式広報ビデオを見まして、現在、各国が最も対応に力を入れている、弾道ミサイル迎撃(BMD)を題材にしてみようと思いました。海上自衛隊は陸空自衛隊と比べて、最も広大なエリアを守っている組織です。自国を守る艦艇はかっこいいですし、少しでもこだわって作りたくなります

――“国を守る”艦艇に惹かれたんですね。

【アルキメデス】そうですね。私が船の模型にハマるきっかけになったのが、戦艦大和でした。帝国海軍艦艇が格好良く、歴史を調べると改修や苦悩の中、戦って撃沈したり、戦後まで生き残り復員船として活躍したり、他国へ渡っていた艦艇もあると分かり、それぞれの物語を調べることが楽しくなりました。現在も制作前の準備として資料や詳細を調べてある程度のことを確認します。話が脱線しましたが、戦艦は特に洋上に展開する鋼鉄の城でとても重厚感があり魅力的でした。それともう一つ、惹かれる理由があります。

――もう一つの理由?

【アルキメデス】はい。祖母から戦時中に体験した話をいろいろと聞きました。そのなかには、祖母のお兄さんが戦艦大和に乗艦して沖縄に向かい、戦死したという話もありました。私がこうした模型やジオラマで艦艇を作るのは、その影響もあると思います。
 時代は違えど、現用艦艇も国を守るために生まれ、いつ訪れるか分からない脅威から自国を守り活躍する姿はとても格好良く、大好きです。

――制作の背景には、伯祖父への思いもあったんですね。ご自身のモデラーとしての信念を教えていただけますか?

【アルキメデス】模型やジオラマは、国家や人種や性別、年齢関係なく、どの分野でも気軽に楽しめるコンテンツだと思います。相手に自分の考えを押し付けたり、迷惑をかけずに、お互いの作品を尊重しあうことが大切だと思います。
 そして、「模型でも“艦艇が生きている”と感じるジオラマを再現してみたい」というのが、私のリアルさにこだわって制作する一番の理由です。自分が楽しみ、展示やSNSを通じて、閲覧される方々にも楽しんでもらえたらと思います。

――最後になりますが、アルキメデスさんにとって「模型/ジオラマ」とは?

【アルキメデス】自己満足の世界ですので、こだわって史実と同じように作ってもいいですし、架空設定で作っても楽しい。自由度がかなり高い趣味だと思います。
 頭で思い描いたこと、心で思ってる姿を具現化していくことは、素晴らしい技術だと思いますので、今後も続けたいと思ってます。