テレビ東京系で27日、『池上彰vs天才キッズ ~忖度なしの疑問に答えます~』(後8:00~9:48)が放送される。さまざまな得意分野を持つ“天才キッズ”たちが、いろいろなニュースについて、ジャーナリストの池上彰氏に“忖度(そんたく)なし”の鋭い質問・疑問をぶつけ、池上氏もさまざまな取材をしてそれに応える、キッズならではの視点に大人もいろいろ気づかされ、学べる番組だ。収録後、池上氏に、番組に登場する天才キッズたちにならって、“忖度なし”の質問をぶつけてみた。

【画像】サブMCで小峠英二(バイきんぐ)も出演

――NHKを辞めてフリーになられてから16年。相変わらず“池上解説”は引っ張りだこ、無双状態が続いていることをどう感じていますか?

【池上】ニュースって毎日、次々と入ってくるものなので、新たに起きた出来事について、それがどういうことなのか知りたくなる、そこで解説が求められる。だからニュース解説の仕事が続いているんだろうな、と思います。

もともとは活字の世界で生きていこうと思ってNHKを辞めたんです。海外にも取材に行って、週刊誌に連載したり、本を書いたり、そういうことをやろうと思っていたんですが、テレビ東京などから声がかかって、テレビの仕事がだんだん増えていった。でも、最近は大学で教えることが増えました。今、9つの大学で教えています。試験の採点が終わっていなくて、大変です(笑)。

――本も出されていますし、テレビ出演、大学で教鞭をとって。そのモチベーションは?

【池上】世界中でいろんなことが起きるでしょう、自分自身が「知りたい」と思う好奇心ですよね。もう一つは、やはり説明したがりなんですよ、これは病気みたいなものです。説明して、みんなが「へぇ~」と言ってくれるのが快感になる。基本それでしょうね。活字の世界で書くことも、大学で現代史について講義するのも、テレビ番組に出演するのも「説明したがりだから」で、説明がつく。

――“ポスト池上彰”不在の中で、番組『池上彰vs天才キッズ ~忖度なしの疑問に答えます~』に出演してくれた栗原響大さん(小6/『TVチャンピオン極 日本の名城マニア決定戦!』3位)、布施麻理亜さん(小6/ロシア語・英語が得意)、松下淳一郎さん(小5/国際知識スーパーマスター)の3人は、将来が楽しみだなと思いました。

【池上】私の後継者になってくれたらいいな、と思いますね(笑)。ただ、新しい形の説明の仕方ってあると思うんですね。私風のスタイルを真似するのではなくて、これから新しいニュースが出てきた時に、違うスタイルで伝える、解説する方法はおそらくあると思うんです。いろんな人たちが自分なりに作り出して、やっていただけたらと思います。

 大学で教えている学生たちには、「へぇ~、そうなんだ」と思ってもらえるのは解説したがりの身としてはうれしいですけど、それだけで終わらないで、私の授業をきっかけに、それを気づきとして、学生諸君が自分の頭で考えて、判断できる力を身につけた社会人になってもらいたい、そういう思いで授業をしています。

――番組では、「何で悪いことをする政治家がいるの?」という質問が出て、政治家をめぐる問題を取り上げますが、政治家が発する言葉が全然心に響かないな、というのを感じました。

【池上】「緊急事態宣言です」「感染防止に努めてください」と言っても伝わらないでしょう。そういうことになっちゃってるんですよね。言葉を武器にしなければいけない、言葉を使って生きていくんだ、という自覚が必要なのなかな、と思うんですね。政治家だったらなおさらですよね。

言葉を武器にと言いましたが、それは凶器にもなるということです。ある種危険なもの。言葉は包丁だと思ってください。見事に料理を作ることもできるし、みんなが感激するようなおいしい料理を作ることもできるけど、人を刺し殺すこともできる。

――ですか、どんどん言葉で説明するのが難しく感じます。

【池上】確かに、最近は、言葉を使うよりも動画で見せた方がわかりやすいというのがありますよね。ちょっと前はグーグルで検索したのに、今の若い子たちはYouTubeで検索する人がいっぱいいる。料理のレシピも、小さじとか少々とか書いてあってもどれくらいかわからないけど、動画で見せてくれるとわかりやすい。わかりやすいんですが、動画に頼ることによって、どんどん言葉で説明できなくなっていくのではないか、言葉を使う能力が落ちていくのではないか、そういう懸念はありますよね。

私の場合、説明する時に気をつけていることは、相手の頭の中に絵が浮かぶような説明の仕方、言葉選びを意識しています。スタンプや絵文字で思いを伝えるのは便利ですけど、それを文章で伝えるならどう言えば伝わるか。スタンプや絵文字に頼らない、というのを日々やってみるだけでも、ずいぶん違うと思います。

――池上さんは解説時に「自分の意見を言わない」のポリシーだとうかがっています。それはなぜですか?

【池上】ジャーナリストは批判精神を持つべきだと思っていますので、「これは違うんじゃないか」「これは政治家としてダメじゃないか」という批判はしますが、「こうすべきだ」という自分の意見を押し付けるというか、「自分はこう思う」という言い方はしない。今回の番組の中でも「自衛隊は軍隊じゃないの?」という質問に答えるために、なかなか入ることのできない自衛隊の現場を取材しました。そして、自衛隊は軍隊なのか、そうじゃないのか、いろんな議論があることを紹介し、なんでそういう議論があるのかを説明しました。私は常に、そういうスタンスなんです。その説明を聞いて、一人ひとりが考えてほしい。私がこうだ、と言ってしまうと、そうなんだとそのまま受け止めてしまう人がいる。それはいいことではないんじゃないか、と思うからです。民主主義というのは、一人ひとりが十分に判断できる材料を得て、自分の頭で判断できること。そのインフラ作りのお手伝いをしているということですね。

――池上さんが総理大臣になってくれたらいいな、と思うのですが。

【池上】物事をわかりやすく解説する能力と、人々を統治する能力は全く別なんです。そういうことはない、ということで。

 なお、番組では、キッズから「最近大雨が怖いけど、きちんと対策はしているの?」「想定外の大雨が来たらどうするんですか?」といった質問も。池上氏はどう解説するのか? 池上氏の解説を聞いて、さらに斬り込んでいくキッズたちにも注目だ。