3人組グループ・いきものがかりが11日、地元・神奈川の横浜アリーナで約6年ぶりとなる有観客ツアー『いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!』ファイナル公演を開催した。山下穂尊(Gt)が今夏をめどにグループを脱退し、表舞台に立つ芸能活動からの引退を発表しており、3人体制でのライブはこれが最後となった。

【ライブ写真10点】3人体制ラストライブは3時間15分の熱演 ソロショットも

 1999年2月の結成から22年。山下のラストステージは、3人のあいさつからスタートした。リーダーの水野良樹(Gt)が「やっと、久しぶりに地元・神奈川でライブができるっていうのに、山下、抜けるってよ」と明るい口調で話を振ると、両手を振って登場した山下は「放牧(活動休止)やコロナもあって、考えた結果ではあるので、温かく背中を押していただければ。よろしくお願いします」とファンに呼びかけ、割れんばかりの拍手が贈られた。

 オープニングナンバーは、小学1年からの盟友・水野と山下の2人でいきものがかりを結成した当初に制作された「からくり」。2人の息のあったツインギターとコーラスに乗せ、「心を込めて歌いたいと思います。受け取ってください」と話した吉岡聖恵(Vo)が伸びやかな歌声を響かせた。

 3人で「夏・コイ」を歌ったあとには、水野と山下が2人によるMCタイム。「恥ずかしいね、“旧いきものがかり”が」と2人で照れつつも、山下が脱退を告げた当時のことを振り返り始めた。水野は「あなたが離れるって言って、聖恵と話したの。そしたら、よっちゃん、私考えたんだけど、ハーモニカを練習しておくって。いや、そこじゃない」と笑うと、衣装チェンジした吉岡が「私としては精一杯の頑張りなわけよ、ほっち(山下の愛称)が抜けるとなったら。それなのに、そういうのいらないからってバサッと切られた」と割って入った。

 吉岡は家族にも山下のことを報告したといい、「父親が『お前がハーモニカやったほうがいいんじゃないか』って。遺伝子! 父も同じ発想だったよ」と笑いを誘う一幕も。水野はいきものがかり結成当初からつけていたという「いきものがかり観察日記」を読み返しながら1999年4月13日に路上ライブを始めた当時の思い出を振り返ると、「これ、ほっちくんにあげようと思って」と日記をプレゼント。山下はステージ上で食い入るように黙読すると「ツイッター始めて全部公開しようかな」といたずらっぽく笑った。

 中盤には吉岡が「自分たちも節目を迎えています。『サヨナラは悲しい言葉じゃない』。そんな思いを込めて歌います」と伝え、「YELL」を熱唱。本編のクライマックスの“盛り上がりゾーン”では「BAKU」「ブルーバード」「気まぐれロマンティック」「じょいふる」でたたみかけ、吉岡から何度もあおられた山下も熱演。このパートのラストは吉岡が「22年目なので22回ジャンプ行ける?」と叫び、22回ジャンプをやりきった山下は「思い残すことはないですよ」と笑顔をみせた。

 吉岡は「ほっちの決断をみんなハッピーに受け止めてくれる気がして。ほっちが横浜アリーナが好きで、最後にここでうれしいねって言ったけど、この3人だから今日のステージに立てているんだと思います。この3人だから今日みんながここに集まってくれているんだと思う。でも、今以上に山下穂尊は、いきものがかりは、水野良樹、吉岡聖恵は輝いていきたいと思うから、これからもよかったら見守って、一緒に歩いていってほしいなと思います」と涙まじりにあいさつ。3人で深々と一礼すると、山下に向けて贈られた拍手は鳴り止むことなく続き、2012年に『NHK紅白歌合戦』で紅組トリを務めたときにも歌唱した代表曲の一つ「風が吹いている」で締めた。

■山下穂尊がメッセージ「“新生いきものがかり”を、より温かく見守って」

 アンコールで2曲披露したところで山下がファンに最後のメッセージ。「この公演で僕は、いきものがかりを離れる決意をして、6月2日に発表しました。この何年か自分がいる場所をいろいろ考えたんですよね。横浜アリーナという場所に立てたことが、目標というか夢がかなったなと実感させていただいた(デビューから)15年、(結成から)22年でした」と切り出した。

 「『心の花を咲かせよう』の『日常の日々こそ奇跡』とか『ここ終わりという始まり 始まりという名の終わり』という言葉を今、噛み締めながら演奏していました。路上から始まって、一つ一つが奇跡で、今もこのような奇跡のような景色を見られていること、ここを見てこのグループを去れることを幸せに感じています。来てくれてありがとう」とファンに感謝した。

 「僕は大きな犠牲を払って、新しい世界に飛び出していこうと思います。もしよかったら、山下穂尊を温かく見守っていただけるとうれしいな。そして、何よりも、“新生いきものがかり”の2人を、より温かく見守って背中を押していただけたら、こんなに幸せなことはないと思っています。ほんとにほんとに15年、22年、ありがとうございました」とあいさつすると、会場は割れんばかりの拍手に包まれ、吉岡は目にいっぱい涙を浮かべた。

 水野が「自分たちが作った歌に自分たちが当てはまっていく」と紹介した「ありがとう」に続き、ラストナンバーは山下が高2のときに作ったという「地球」(ほし)。イントロで山下のハーモニカが響き渡ると、吉岡は「もしもあなたが遠くへ離れても きっといつかの太陽よりも強く輝きたい」と心を込めて歌い、3人の心温まるハーモニーで観客の胸を打った。

 吉岡は山下に向けて拍手を贈ると、「ありがとうございました、いきものがかりでした」とあいさつ。山下は「ありがとう」の言葉を残し、手を振ってステージを後にしたが、拍手は鳴り止むことなく、3人で再登場した。

 水野は「すごく寂しいです。だけど、これが自分たちにとっては最も自分たちらしい選択だと思います。この道が正しいと思っています」と語ると、涙をこぼし、吉岡もそっと目元をぬぐった。水野は「デビュー当時、レコード会社の方が“泣き笑いせつなポップ”というキャッチフレーズをつけてくれたんですが、まさに今の僕らの表情が泣き笑いです」と照れ笑いすると、デビュー曲「SAKURA」を万感を込めて披露した。最後は山下が「じゃあ、1本締めで。お手を拝借、よ~!」と声を張り、会場全体で1本締めした。

 吉岡はマイクを通さずに「みなさん、いい1本締めでしたか? 山下穂尊、吉岡聖恵、水野良樹は、よっちゃんは友達に戻って、私はこれから初めて友達をやりたいと思うんだけど、それでもこれからも3人のことを見ててくれるかな?」と生声であいさつ。「また、会いましょう。ありがとうございました!」と絶叫し、万雷の拍手の中、22年におよぶ3人でのライブに幕を下ろした。

 いきものがかりは小中高と同じ学校に通っていた水野と山下が1999年2月1日に結成。ユニット名は2人の共通点が小学1年のときに一緒に金魚に餌をあげる「生き物係」をしていたことから命名した。地元の神奈川・厚木や海老名など小田急線沿線で路上ライブ活動をスタートし、同年11月3日、同級生の吉岡くんの1歳下の妹、吉岡聖恵がボーカルとして飛び入り参加。そのまま加入して3人組となり、2006年3月5日、「SAKURA」でメジャーデビューした。『NHK紅白歌合戦』には2018年から9年連続を含む11回出場を果たし、2012年には紅組トリも務めた。山下が今夏をめどに脱退後は、水野と吉岡の2人で活動を継続する。

■『いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!』ファイナル01. からくり
02. 茜色の約束
03. SING!
04. アイデンティティ
05. きらきらにひかる
06. 夏・コイ
07. ええじゃないか
08. 太陽
09. YELL
10. コイスルオトメ
11. BAKU
12. ブルーバード
13. 気まぐれロマンティック
14. じょいふる
15. 風が吹いている
【アンコール】
EN1. TSUZUKU
EN2. 心の花を咲かせよう
EN3. ありがとう
EN4. 地球
【Wアンコール】
EN5. SAKURA