6月9日は、米俳優ジョニー・デップの58歳の誕生日。これを記念して、彼が主演する映画『MINAMATA(原題)』(9月公開)より、新しい場面写真が解禁された。そこに写っているのは、ジョニー扮するW・ユージン・スミスが暗室の中でカメラをかまえた姿。W・ユージン・スミスの本人の写真と見比べると、ユージンをよく知る関係者やファンが、ジョニーのルックスがあまりにもそっくりだと称賛しているのも納得だ。

【写真】ウィリアム・ユージン・スミス(1918-1978)

 ユージン本人の写真は、1971年、ユージンが水俣取材をしていた際にアシスタントを務めた写真家の石川武志氏が撮影したもの。比較するとより、顔立ちが似ていることが分かる。

 ジョニーはユージンについて「長年、彼に憧れを抱いていた」と語る。「私はマグナム・フォトの会員だった写真家メアリー・エレン・マークと親しくて、彼女はW・ユージン・スミスと知り合いだったので、彼の写真のファンだった私はメアリーに彼のことを聞いた。彼女によると、彼は気難しいが繊細なボヘミアンであり、すべてを見てきた百戦錬磨の戦争フォトジャーナリストだったという。彼にまつわる面白い話も聞いた。彼はユーモアのセンスがある人で、“Wは何の略ですか?”と聞かれると、“ワンダフル”と答えていたそうだ」と、ジョニーは笑う。

 まるで現代のボヘミアンのようでいて、ユーモアに満ち溢れたジョニーがユージンを演じることになったのは、必然だったのかもしれない。自ら製作・主演を務めたジョニーにとって、役者人生をかけた一作となる。

■ウィリアム・ユージン・スミス(1918-1978)

 1918年12月30日、アメリカ・カンザス州ウィチタ生まれ。世界的写真家集団「マグナム・フォト」の正会員。太平洋戦争において、サイパン、沖縄、硫黄島で戦場カメラマンとして活躍。戦後は一般の人々の生活を捉えていき、「ライフ」誌で発表した「楽園へのあゆみ」、「カントリー・ドクター」、「スペインの村」、「助産師モード」などのフォト・エッセイは世界的評価を得る。52歳の時に当時の妻アイリーンと水俣市に移住。3年間水俣市に暮らしながら水俣病の問題を取材し、1975年、アイリーンとの連名による写真集「MINMATA」がアメリカで出版され、世界中で大反響を呼んだ。翌年、ロバート・キャパ賞を受賞。1977年末、死去。享年59。写真集「MINAMATA」がスミスの遺作となった。