『舟を編む』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『生きちゃった』『茜色に焼かれる』などの作品を発表し続ける石井裕也監督が、あらためて初心に返り、これまでの経験値に頼らずにオール韓国ロケで挑んだ意欲作『アジアの天使』(7月2日公開)。本作で、映画デビューする逸材がいる。それは、池松壮亮演じる剛のひとり息子・学(まなぶ)を演じた佐藤凌(9)だ。

【動画】池松壮亮の息子役を熱演した佐藤凌に注目したくなるメイキング映像

 佐藤は、舞台で演技経験を積み、本作のオーディションで石井監督に見いだされた。撮影時、8歳だった佐藤は、母親と一緒に韓国にわたり2020年2月から1ヶ月半に及ぶ異国での撮影を乗り切った。撮影中は母親と二人三脚で演技の練習し、撮影に臨んだという。自身の役について佐藤は「お母さんを亡くした学は、お母さんに会いたいと思っています。韓国に渡ってとても勇気がある子だと思います」と振り返る。

 思い出に残っているシーンについて、学が海を見に行くシーンを挙げた佐藤は「学は、海にいったらまたお母さんにまた会えるんじゃないかと思っているんです」と内に秘める母を恋しく思う学の気持ちを代弁した。学が大切に持っている1枚の家族写真にも触れ(海辺で亡き母親と父の剛、学の3ショット写真)学がところどころで写真を眺めるシーンが印象的だとも語っている。

 父親役の池松との撮影について聞くと、「池松さんは僕の撮影が終わるまで待っててくれたり、オレンジジュースを買ってくれたり、本当に優しくしてくれました」と振り返る、撮影合間も池松の父親役は健在だったようだ。

 そんな池松も佐藤について聞かれると「まだ8歳の凌が韓国にきて、初めて映画という冒険に参加していましたので、僕自身も、凌自身もこの撮影が人生の特別な時間になったらいいなと思っていました。また、父親としてなのか、同じ俳優としてなのか、男としてなのかは分かりませんが、凌の成長を見たかったというのはあります」と貴重な韓国ロケでの佐藤との共演について語っている。

 池松と韓国の女優チェ・ヒソ、佐藤の3人を捉えた撮影の合間のメイキング映像と佐藤がクランクアップ時にあいさつしているところを撮影した映像も解禁された。食卓を囲むシーンの合間につまみ食いをする佐藤と、それを見ている池松とヒソ。その距離感の近さは、まるで家族のようなほっこりする映像となっている。

 クランクアップ後のあいさつでは、「みなさんありがとうございました、とてもとても楽しい毎日でした。また、皆さんと会えるように頑張ります、そのために、ぼくは何でもあきらめません! チョヌンポギアネヨ!(※韓国語で「ぼくはあきらめない」)」と言った後、涙があふれ出した佐藤をヒソが抱きしめる、微笑ましい様子を見ることができる。

 本作は、小説家の青木剛(池松)と8歳のひとり息子の学(佐藤)、剛の兄(オダギリジョー)が、ソウルから江原道(カンウォンド)へ向かう列車の中で、元人気アイドルのソル(チェ・ヒソ)と彼女の兄ジョンウ(キム・ミンジェ)、妹のポム(キム・イェウン)らと出会い、ともに旅をする中で、とある奇跡を目の当たりするロードムービー。