女優の大竹しのぶ、人気グループ・関ジャニ∞の大倉忠義らが出演する東京・BunkamuraシアターコクーンのCOCOON PRODUCTION 2021 DISCOVER WORLD THEATRE vol.10『夜への長い旅路』がきょう7日から開幕する。大竹と母子役として家族の愛憎劇に身を投じる大倉は「こんな形の家族を見て、お客様へ何でもいいので何か宝物になるような経験を持って帰っていただけるように頑張りますので、どうぞ愛を持って見守ってください」と呼びかけている。

【写真】一家4人がそろった舞台『夜への長い旅路』メインビジュアル

 今作は、“アメリカ近代劇の父”と称される劇作家、ユージン・オニールの遺作をもとに、彼の青春時代における凄惨(せいさん)な家族の姿を描く。大竹は、モルヒネ中毒で常に精神が不安定な母・メアリーを、大倉は、アルコールに溺れ、父親のすね脛をかじって放蕩とうを繰り返す長男・ジェイミーを演じる。

 英国気鋭の演出家であるフィリップ・ブリーンの指揮のもとフィリップに熱い信頼を寄せる大竹、4年ぶりの舞台出演となる大倉、初舞台に挑む杉野遥亮、そしてフィリップとは初タッグとなる池田成志が参加。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、フィリップがイギリスより来日できなかったため、稽古はリモートで繋いで実施された。

 結核を患っている次男・エドマンド役の杉野、アイルランド系移民で、金銭に対して異常な執着を持つ俳優の父・ジェイムズ・タイロン役の池田、一家の女中に土居志央梨。オニール家をほぼ忠実に再現したとされるタイロン家の、夏のある一日の物語。オニール自身が投影された次男エドマンドの視点のみならず、母、兄、父、家族4人の個々の内面が深く掘り下げられ、それぞれの抱える哀切や怒り、後悔や絶望、そして家族間の愛憎、確執が、巧みな会話の応酬で見事に表出された家庭劇となっている。

 難役に挑む大竹は「思っていた以上に大変な戯曲であることが分かり、そして毎回のことですが、フィリップの戯曲の深い理解に感動しながら、稽古を重ねてきました。それぞれが苦しみや、悲しみや絶望を感じていても、それぞれが大きな愛を持っている。だからこそ切なくて、そして美しい物語です。こんな状況の中でも来てくださることに、本当に感謝です」とコメントを寄せている。

■キャストコメント全文

<大竹しのぶ>
ある日の稽古場で、画面越しに初舞台の遥亮くんにアドバイスするフィリップの言葉を聞いて、気が付けば私が深く頷いていたり、稽古場最終日、稽古が終わり「まだまだダメだ」と落ち込む遥亮くんに「私も一緒だよ」と慰めていたら、それを見ていた大倉くんが「俺もだよ、どうしよう」と三人でため息を吐いていると、もうモニターを切ってもいいのにフィリップがまたマイクをONにしてくれて「どうしたの?」と聞いてくれる。6000マイル離れていても、いつもそこにいてくれるんだと思えた瞬間でした。
思っていた以上に大変な戯曲であることが分かり、そして毎回のことですが、フィリップの戯曲の深い理解に感動しながら、稽古を重ねてきました。
それぞれが苦しみや、悲しみや絶望を感じていても、それぞれが大きな愛を持っている。だからこそ切なくて、そして美しい物語です。こんな状況の中でも来て下さることに、本当に感謝です。

<大倉忠義>
段々と家族のような絆が生まれていくような感覚を味わいながらも、馴れ合いではないプロの役者さん達の集中力で稽古が進んでいったことが思い出深いです。そして、稽古を経ても、まだまだこの戯曲の大きさ・深さに驚かされています。
愛憎劇という、なんでこんなに愛しているのに悲しいことばかり起こるのか…と思いながら演じています。こんな形の家族を見て、お客様へ何でもいいので何か宝物になるような経験を持って帰っていただけるように頑張りますので、どうぞ愛を持って見守ってください。

<杉野遥亮>
みなさんと稽古をする中で、演技とは芸術で、俳優とは芸術家なんだと学ぶことができました。俳優や演技に対する自分の中の意識がガラッと変わりました。何もかも初めてのことで、こんなに長い時間役と向き合うことが今までになかったから、自分と役との境目がわからなくなったこともありました。
自分がどこにいるのかわからない時もあって、これが役に向き合うということなのか…初舞台で毎日素敵な経験をさせていただいています。劇場に入り初めて舞台上から客席を見た時はすごくワクワクして、もっともっと稽古をしたいという気持ちもあるけれど、早く観ていただきたいという気持ちも湧いてきました。物語はとても暗く、残酷にみえますが、そんな物語を今この時代に、この瞬間に上演することに意味があり、希望があると思っています。一緒に楽しんでください。

<池田成志>
演出家と海を挟んだ遠く離れてのリモート稽古で、空気感などがお互いうまく伝わっていない部分もあったなとも感じていて、もっと稽古をしたかった…。
僕の役は、奥さんのモルヒネ中毒や、息子の病気という心配事が多いので、単純な苛立ちに感情をフォーカスしがちになってしまい、治る、きっとうまくいく、というような家族としての基本的な気持ちになかなかたどり着くことができなかった。作品を通して、家族って単純ではないんだな、難しいなと改めて感じました。
この作品は台本が分厚くてものすごい情報量です。身に染みたとか、わからないとか、ここが響いたとか、観てくださった方それぞれに、色々な感情がわいてくると思います。それだけ複雑な内容なんだと僕たちも実感しています。とても苦しくなると思うので、休憩中にいっぱい深呼吸してください(笑)。終わったら、少しだけ気が晴れるような作品にもなっていると思います。